第2章

数々のギルドへの依頼を三人で助け合いながら遂行して数か月が過ぎた頃、


「しっかし、三か月でここまで実績を上げるとはな~」


ギルド内で食事をとる三人にジングスが話しかける


「今じゃー『ターパン』で知らないやつはいねーもんな!義勇軍の名称を『義勇軍』って聞いたときはまさかこんなに早く町中で噂になる奴らになるとは思ってなかったからよ~びっくりだぜ!」


「ほっとけ」顔を赤くし答えるアラン。


「しかし仲間募集のチラシを町中に貼ってもなかなか来ませんね希望者。」


ミーナのストレートな発言に言葉を失う三人


「まっまぁそのうち来るよな!なあアラン!」


「だっだよな!」


「ところでよ、お前ら話しかけたのは他でもない。ある依頼に義勇軍を推薦しようと思うんだが、どうだ乗るか?」


「どんな依頼なんですか?」


「依頼主は聖都マリクリシアにいる俺の旧友だ」


「まさか、アドラス卿!?」驚くアランとタケル


「よくわかったな」


「あのアドラスさんからの依頼だなんてやりましたね!」


優しい笑みで喜ぶミーナ


「ということは護衛依頼ですか!」興奮するタケル。


「いや警備依頼だ、お前達に今度マリクリシアで行われる騎士団会議の警備をこのギルドの代表としてやってもらいたい」


「もちろん受けるよなアラン!!」タケルの興奮は収まらない。


「もちろん受けたいが、まだまだ戦力としては足りない、俺しかり、タケルにしかり、ましてミーナは多少の治癒魔法を使えるが非戦闘員だ、その蒼い宝石がまたあの時みたいに力になるとはわからない。そんな状態では・・・」


「そこは心配するな、この依頼のためにある男をつけてやる、おい!こっちだ」


するとベテランの風格漂うハットを被ったオジサンがやってきた。


「はじめまして、ハドソンだ。よろしく!」


「こいつはウチのギルドきっての弓使いだ、実力は俺が保証する。」


「これなら・・・」目を輝かせるタケル


「よし引き受けた!」


「じゃあ準備して明日、マリクリシアに向かってくれ、詳しいことはヤツから聞いてくれ」


こうして義勇軍は聖都マリクリシアへ出発した。


「やけに上機嫌だな少年。」


「アドラスさんはタケルの憧れの騎士なんですよね?」


「おう。元レオパルド王国の五傑星の一人にして『聖騎士団』総帥、今は聖都マリクリシアの騎士団の総司令官を務めるあの人に憧れない騎士はまずいないね、ハドソンさんは憧れている人いるんですか?」


「俺か?俺はラドルフかな」


「確か、五傑星に選ばれたエルフでしたよね?」


「エルフですか?」


「コバレル大陸には人間・妖精・鬼・知魚の四種類の種族いや魔法使いも入れて五種類の種族がいるんだけど『エルフ』は『人間と妖精のハーフ』ってところかな。」


「同じように鬼と人間のハーフを『鬼人』知魚と人間のハーフを『魚人』魔法使いと人間のハーフを「魔人」って言うんだよお嬢ちゃん。」


「そうなんですか。アランさんは憧れの人はいるんですか?」


「俺か?俺は・・・」すると突然、魔物が現れた!


「こんな、森の中でも魔物かよ!」


「いや、待て!とんでもないのが紛れ込んでいるみたいだぞ!少年達」


ハドソンの読みどうり、仮面をつけ黒と赤に装飾された鎧をつけた騎士が現れた。


「誰だ、お前は」サッとミーナの前に立つアラン


「私か?私はそうだな・・・『煉獄の騎士』とでも名乗っておこうか・・・その娘をこちらに引き渡せ、そうすれば、君達へ危害を加えずにすむんだが・・・」


「ミーナはオレ達の仲間だ、お前なんかに渡すものか!」


「そうか・・・残念だよ・・・やれ。」


煉獄の騎士の合図と同時に獣型の魔物が襲い掛かる。「ビューン!!ビューン!!」的確に急所を突くハドソンの弓が魔物に突き刺さる。


「少年達、俺がヤツらの相手をする!お前らでその鉄仮面を倒せ!」


「わかりました。タケル、ミーナを頼む。」


「おい!アラン!!」


「アランさん!!」煉獄の騎士に突撃しに行くアラン


「見せてもらおうか・・・君達が私の期待に応えるだけの資質を持つものなのかを!」鮮やかに避ける煉獄の騎士。アランの攻撃をまるで予測しているかのようにかわす煉獄の騎士。


「どうした?私はここだぞ少年?」


嘲笑う敵を前に徐々に冷静さを失うアラン


「少年避けろ!!」


後ろから重い弓の一撃が煉獄の騎士の盾に直撃する。


「ほう・・・良い矢だ。そろそろ私も反撃させてもらうよ」


凄まじい斬撃が義勇軍を襲う。


「クッ」


「二人とも危ない!!」


タケルの盾でミーナとハドソンは無事だった。が盾は壊れタケルはあまりの威力に気を失い、アランも負傷してしまう。


「アランさん!タケル!」


ミーナは治癒魔法での回復を試みる。


「私の部下も全滅してしまったようだな、ここまでにしておこう。」


立ち去る煉獄の騎士


「次に会う時には最良の判断期待するお嬢さん。」そう言って姿を消した。


「お嬢ちゃん、治療はもう大丈夫だよ」ミーナを止めるハドソン


「でも、でも!」


「大丈夫だ、ミーナ。」


「アランさん!!」抱きつくミーナに照れるアラン。


「いいな~アラン・・・」


「少年も大丈夫か?」


「なんとか」


「ここで留まるのはマズイ、いつまた襲われるかわからんしな。移動を急ごう。」


一刻も早く聖都マリクリシアにつくことが疲弊しきった義勇軍にとって最優先課題となった。


「ターパンからの長旅ご苦労。私が依頼主でマリクリシア騎士団総司令官のアドラスだ。」


疲弊しきった義勇軍はなんとか聖都マリクリシアのマリクリシア城に到着し、アドラスと対面していた。


「私はハドソンと申します。そして左から、ミーナ・タケル・アランです。」


「アランとミーナか・・・」


「えっ」


「いや・・・こっちの話しだ・・・忘れてくれ」


「はぁー」


「ところで、かなり道中で苦労したようだな、報告は受けているよ」


「まさか、あんなところで幹部クラスの敵と遭遇するとは思いませんでした。」


「まぁそうであろうな・・・」


「あの~」


ミーナに視線が集まる。


「すいません、騎士団会議とはなんですか?」


「騎士団会議とは、各主要都市の騎士団長と妖精・鬼・知魚・魔法使いの代表の騎士団長による話し合いの場だ、レオパルド王国時代からの話し合いの場だが、王国の崩壊後、五種族をまとめるレオパルド王が亡くなったことで分裂し独自の生活圏を形成しだした五種族の集まる。数少ない話し合いの場となっている。」


「何故、騎士の方々なのですか?」


「騎士には種族が違えど共通の志がある。その点、話し合いが円滑に進みやすいのだ。」


「なるほど・・・」


「それより、今日はもう休め。まだ、会議の開始に5日はかかる。それまでゆっくり休むがよい、詳しい詳細は明日話そう。」


「ありがとうございます。」


義勇軍は城付近の宿舎に疲弊しきった身体を休めることにした。


その夜、寝静まった町中をアランは宿舎の窓からじっと眺めていた。


「眠れないのか?」その様子を見かけたタケルが声を掛ける。


「・・・なにも出来なかった。ヤツに攻撃することも、皆を守ることも。」


「オレもなんも出来なかった。」


二人は互いになにを語ろうとしているのかを察したかのように黙り込む


(俺(オレ)はもっと強くなりたい・・・)その決意を拳に込め綺麗な満月に突き出すのであった。


「今回の会議では十都市の騎士団長と各種族の代表の騎士団長の計15人で行われる。義勇軍にはまず、明日『古都ラグナシア』のラグナシア騎士団長をここマリクリシアまで護衛してほしい。次は会議前日に城付近の近辺警備を、当日は城の入り口を警備してもらいたい。」


「承知しました。」


「よしでは解散!」


城内は騎士団会議の準備のためか慌ただしくアドラスの周囲を右へ左へ動き回る城内の人々、その中を何事もないかのように奥の部屋へと歩くアドラスをアランは呼び止めた。


「どうした?」


「会議が始まるまで我々にご指南ください!」


「何故だ?」


「煉獄の騎士との戦いで己の無力さを痛いほど身に染みて実感しました。奴らを駆逐・・・いや皆を守るために力をつけたいのです。」


考え込むアドラス


「オレもお願いします。」


「皆を守るためなんだな?」


「ハイ!!」


「いいだろう。ではアラン、君は私についてこい。タケルは今から呼ぶ男について行ってくれたまえ。」


「ありがとうございます。」


深々とお辞儀をする二人に


「タケル君はどちら様?」


同い年位の青年が話しかけて来た


「私は、マリクリシア騎士団七番隊副隊長マルスです。よろしくお願いします。」


「オレがタケルです!マルスさんよろしくお願いします。」


そう言って二人はどこかへ行った。


「では、我々は宿舎に戻るとしよう。」


「頑張ってください!アランさん。」


ハドソンとミーナもその場を立ち去る。


「ではアラン始めようか。」


「はい。」


「まず、私と手合せしよう。勿論手加減無しだ!」


こうしてアランは元五傑星との特訓を始めた。


 義勇軍はラグナシア騎士団と合流し、護衛の任務に就いていた。


「アドラス卿の特訓どうだったんだ?」


自信に満ち溢れたタケルの目はあのあとのアランの活動に興味津々のようだ。


「とても、解りやすいご指導だったよ。」


後ろからそのやり取りを聞いていた二人は確かに目の前の二人の変化を感じ取っていた。


「なんか、二人とも昨日と様子が違うな・・・」


「はい。たった一日ですが、二人の背中から自信をつけたことが見ていてわかります。」


「これは楽しみだ・・・」


「魔物が出たぞ!陣形を組んで団長をお守りしろー!」


前方から団員の声がした。


「義勇軍は団長の周辺を頼む。」


近くに居た団員は前線に加勢した。


「なんだこいつは!?うわー」


団員達が薙ぎ払われる。5mは越えようかという巨人が数体、団長めがけ突進してくる。


「特訓の成果魅せてやる。」


そう言って迎え討つアランとタケル。物凄く落ち着いた対処をするアランと、騎士の技を時折魅せるタケル。後ろから矢を放つハドソンは二人が一日で大きく成長したことを実感した。騎士団員を薙ぎ払った巨人達をいとも簡単に倒してしまった。そして、何人かの団員が負傷したもののラグナシア騎士団は、マリクリシアに到着した。アドラスへの任務報告後、


「二人とも、とてもお強くなりましたね!」嬉しそうに語るミーナに照れる二人。


「差し詰め、アランは冷静に考えながら戦うことを教わり、タケルは騎士団員養成学校にでも行ったってとこか?」


「ハドソンさんよくわかりましたね!」


「俺は他にも色々教わったがな。」


「他になにを教わったんだ?」


「時機にわかるさ。俺はこれからアドラスさんにご指導して頂くから先に宿舎に戻っていてくれ。」


「へぇーんだ!オレだって学校に行って学んでくるもんね!」


自信を取り戻した二人の笑顔を見たミーナは安堵した表情で宿舎へ戻った。


 「始まったか。」


城の入り口で時計塔を確認するアラン。


「どんな内容なんでしょうか?」


「まぁ、大方は各地の現状報告と魔物率いる黒王軍に対する対策の協議だろうな」


「奴ら来るのかな?」


「皆、用心深く警戒してくれ。」


「わかった。」


「了解したアラン隊長。」


それぞれの持ち場に就くタケルとハドソン。


「ミーナは傍を離れないでくれよ。」


「はっ!はい」


「どうした?顔赤いぞ?」


「なんでもありません。気にしないでください」


どこかよそよそしい二人。


「そういえば、ミーナは魔法が使えるのか?」


「はい、ですが傷の手当ができる割と簡単な治療魔法くらいしか出来ません。前にこの大陸に来た時にある方から教わりました。」


「この大陸の出身じゃないのか?」


「!!えぇ・・・そうです。アランさんはどうして義勇軍を結成されたのですか?」「・・・家族の仇を取るためにどうしたらいいか考えた結果が義勇軍だった。祖父が一緒に考えてくれたんだけどな。小さい頃に両親は魔物に襲われ、姉と妹は行方不明になった。」


「・・・そうなんですか・・・」


「ミーナの家族は?」


「どうなったかわかりません。」


「魔物に襲われて逃げるように言われて気が付いたらこの大陸に来ていたものですから。」


「!!魔物はこの大陸だけじゃないのか!!」


「そうみたいです。私もこちらで魔物を見て初めて知りました。」


「なんてこった!クッソォ・・・」


「アランさん・・・」


「キー!キー!!」城内に忍ばせ会議の様子を見ていたピケが全速力で向かって来た「ピケ!何かあったんだな?」


「伝令!!魔物が城内に侵入。地下から襲撃してきた模様!!警戒を厳にせよ!!」


警備兵が大声で走り回っていた。


「地下からくるとは。」


「どうします?」


「中に戻って騎士団長達を守りに・・・」


「それはダメだアラン!!」タケルが全速力で走って来た。


「魔物が四方八方に現われ出した!」


「何!?」


「今、ハドソンさんが弓で迎撃してるけど数が多すぎる。直にこちらにも・・・」


「すまん!弓だけじゃ防ぎきれなかった。来るぞ!!」波のように魔物が押し寄せる。「義勇軍は速やかに魔物を撃退しアドラスさんのところへ行くぞ!!」


「オー!!」


押し寄せる魔物に外の警備兵達と協力して迎撃に行った。


一方、城内では魔物と騎士団員達が激しい戦闘を繰り広げていた。


「会議は一時中断する。各騎士団長は騎士団を指揮してなるべく私から離れてくれ。」「なぜですアドラス卿?」


「実は、襲撃は私を暗殺しに来たヤツらの可能性があるという情報が入っている。」「ならば、ここで纏まっていた方が・・・」


「主要人物がこんなに集まっていてはそれこそ襲撃しに来た奴等の思う壺というもの、最悪犠牲は私だけで十分だ!」


「わかったアドラス卿。ご武運を!!」


「・・・ありがとう。」


騎士団長達は会議室を離れた。


「兄上!!」会議室に駆け込むマルス。


「どうしたマルス。」


「クオート騎士団がやられました。」


「何!?あの精鋭騎士団が!?」


クオート騎士団はマリクリシアに数多く存在する私設騎士団のなかでも屈指の部隊であった。


「・・・クオート騎士団の生き残りを一時的にマルス、お前の部隊に組み込み応戦せよ!」


「わかりました。」マルスが会議室を離れた瞬間。


「アドラス覚悟!!」数人の黒い服で身を包んだ者達がアドラスを襲う。


「なっ、なんだと・・・」一瞬で黒い服で身を包んだ者達は倒れた。


「・・・!!ヤツか・・・」そう言ってアドラスは会議室を離れた。


 その頃、義勇軍は押し寄せる魔物達を退け城内であの煉獄の騎士と対峙していた。「お前がこの襲撃計画を立てた首謀者なのか!」


「・・・私はこの襲撃に便乗し魔物を送り込んだだけだよ。それより、今回はその娘を引き渡してもらうよ少年達。」


「誰が貴様らにミーナを渡すか!」後ろから矢が飛んでくる。


「行け!アラン、タケル、鉄仮面に特訓の成果魅せてやれ!!」


「行くぞタケル!!」


「オウ!」煉獄の騎士に突撃する二人


「・・・特訓か、では魅せてもらおう!君達の特訓の成果とやらを!!」


迎え撃つ煉獄の騎士二人相手にも全く動じず、攻撃を交わすが所々で刃が交わる。


「確かに、少年の攻撃は前と比べると随分かわしにくくなっている。もう一人の少年も騎士としての土台が少し垣間見えるな・・・。だがこれはどうだ。」


凄まじい斬撃が二人を襲う。


「二度もやられるか!」アランは必要最小限度の回避と斬撃を弾き、タケルは盾と剣を巧みに使いこれを退けた。


「ほう・・・たった数日でここまで、ならば!」悍ましいオーラを煉獄の騎士が纏いそのオーラが剣に集中する。


「こいつはどうする。」悍ましいオーラを纏った斬撃が二人に向かってきた。


「こいつはやばそうだ!」


「二人とも避けてください!!」


「間に合わない、クソッ!」


「アランさん!!」アランが三人の前に立ち斬撃を抑える


「この剣の力を使えば・・・」アランの剣が悍ましいオーラを吸収し始める。


「!?その剣まさか」


煉獄の騎士は微かに動揺しているように見えた


「これなら・・・いける!!」オーラを吸収した剣で煉獄の騎士に斬りかかるアラン。「甘い!」邪悪な斬撃を放つ煉獄の騎士、避けきれず負傷するアラン。


「ぐは」剣から吸収したオーラが消える。


「ここまでだ・・・!!」先の悍ましいオーラの斬撃を放つ煉獄の騎士


「アラン!」


「アランさん!!」


「ズサーン!!」悍ましいオーラの斬撃が真っ二つに割れる。


「・・・来たか」不敵に笑う煉獄の騎士の視線の先にはアドラスがいた。


「アドラス卿!?」


「アランを手当してここから離れろ。」


「はっハイ!」治療魔法の準備を始めるミーナ。


「私が君を感じるように、君も私を感じるようだな。」


「・・・お前のおかげでな。」二人の剣がぶつかり合う。目にも留まらぬ速さの斬り合いに目を奪われる4人。


「私は今、この時が一番生きている感じがするよ!君もかな?」


「・・・」激しい剣のやり取りはその場にいる者達の時間を止めている。いつしか合流した騎士団達であたりは埋まっていた。


「・・・ここまでのようだな」


「そうだな、だが『今日は』だ」


「何!?」激しい斬撃で竜巻を起こすとそこに煉獄の騎士の姿は無かった。


「各員、被害状況を報告し次の指示を待て。」迅速な指示で周りを落ち着かせるアドラス。その姿から複雑な心情をひしひしと感じ取るミーナと義勇軍であった・・・。


 「城の復旧まで手伝わせてしまいすまなかった。」


騎士団会議の襲撃から数日後、義勇軍はアドラスに呼ばれマリクリシア城内にいた。「今回の依頼はこれで終了だありがとう。これが報酬だ。」


「こんなに頂いていいのですか?」


「私の君達への期待の表れだ。」


「ありがとうございます。」


「それとなんだが・・・お願いがある。」


「アドラス卿のお願いならなんでも引き受けますよ!」


「調子に乗るなタケル。」


「実は私の弟も騎士でな実戦経験を積むためにも、義勇軍にしばらく参加させて欲しいのだ。」


「構いませんが、」


「ありがとう。入っていいぞ。」義勇軍の後ろの扉が開き見覚えのある男が立っていた。


「・・・マルスさん?」


「皆さんよろしくお願いします。」


「マルスさんがアドラス卿の弟なんですか!?」驚く一同。


「そしてタケル」


さらに呼び止めるアドラス


「その代りといってはなんだが、騎士団養成学校に正式に入学して、正式な騎士を目指さないか?」


「いいんですか?」


「私の推薦だから金銭の心配は必要ないがしばらく義勇軍の活動はできない。」「そっ、そうですか・・・」


「行って来いタケル!」


「アラン!!」


「立派な騎士になれるチャンスじゃないか。」


「でもよ・・・」


「立派な騎士になったお前が再び義勇軍に参加することをいつまでも俺達は待ってる。」


「アラン・・・」涙をみせるタケル


「・・・決まりだな」


「はい!アドラス卿よろしくお願いします。」


こうしてタケルと別れ、新たな仲間マルスと共に聖都マリクリシアをあとにする義勇軍であった。

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