青くはない春

@toxapex256

第1話 結

 あまり自分を不自由な人間と思ったことはないのですが、それでもやっぱり生きづらさとは相思相愛、いつも共にいたような気がします。だからなに?というわけでして、いや、なんとなく口に出したかっただけです。

 朝5:30に起きようとアラームをかけるのですが、いかんせん布団が離してくれませんので、結局6:00に床を踏み締め、いつもの朝を迎えます。オートパイロットで顔を洗って歯を磨いて、ウォンウォンと冷凍うどんを電子レンジが温めてるのを尻目に、学ランを身に纏うと、肩の狭さがまだ私に制服を着せられてる感を主張してくるのです。6:30になっても起きない家族に呆れながらも、うどんを啜ります。やっと母が起きた時には、もう私は学校に行くバスに乗り遅れそうな時間でしたので、いってきますと家を飛び出ました。

 自称進特有の退屈な授業、提出物を出さなくても何も言われなくなったのがせめてもの救いですね。体育は道徳から始まります。どうしてこう、体育教師というのは揃いも揃って前時代的な考えを持つ方が多いのでしょう。もう何度目かのモラハラを終えると、満足気に体操をさせるのです。死なないかなぁって。死なないけど。よほどのことがない限り体育というのは心ときめかせる授業、それをつまらなくできるのはある種才能なんじゃないかと、最近常々感じています。まぁ、体育教師の価値観に一石を投じるとか、そういうことがやりたいのではなく、あくまで私の高校生活を主観で表しただけでして。

 帰り道にホームセンターに寄り(ああ、もちろん1人ですよ)、流れに任せてコンビニに寄ると、金欠と分かっていても、どうしてか肉まんを買っちゃう私は、弱い人間です。

 家に帰るともう20:00なので、他の家族はすでに夕飯を済ませてしまっています。寂しいかって?いや、慣れましたね。人間慣れればどうにでもなります。







 次の日の昼、私は死体で見つかりました。直径三十ミリの綿ロープをクローゼットの中のパイプに、我ながら器用に結んで首吊り。綺麗な死に方を模索してみましたが、全然ないものでして、後遺症で苦しみたくもなかったので死にきれたのは幸いでした。床には私の体液が撒き散らかされており、遅起きの両親が私の部屋のドア(私の部屋はドアの真隣にクローゼットがあります。)から漏れ出ていたのを発見したようです。まぁ、これが私の人生です。

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