第51話:罪の在処06
夕餉を食べ終えると俺はフレイヤ邸の玄関に立った。女子が先に風呂に入るため時間を持て余しているのも事実だ。
「出かけるの?」
フレイヤが問うてくる。
「ああ、アイスが食いたい」
「使用人にお願いすれば良いじゃん。お使いくらいは給料の内」
「散歩ついでだ。特に引け目を感じてるわけじゃない」
「ふぅん?」
「行ってきます」
「行ってらっしゃい」
ヒラヒラと手を振るフレイヤに苦笑で返す。秋月の出る夜だ。夜中だが、まだ気温は高い。そんな中コンビニに向かって俺は歩いた。シャツにジーパン。ポケットに財布。その程度だ。起こりうる必然を俺は理解していなかった。
「おい」
と声をかけられる。
「?」
聞き覚えの無い声だったが振り返る。背後には三人の男子が居た。月光と照明が三人の顔を露わにする。
「どこかで見た顔だな」
そんなことを思う。
「あー……何処で見たっけか……」
三人の男子はこちらを睨み付けていた。敵意満載だ。
「どちら様?」
腰低めに問いかける。
「舐めてんのか……」
男子の一人が吐き捨てる。
「恨まれてんのか?」
「自覚が無いのかてめぇ!」
と……言われてもな。
「俺が何かしたか?」
「お前のせいで俺らは退学になったんだよ!」
「あー……」
にゃるほど。俺に悪戯して退学に追いやられた元生徒か。顔は資料でしか見ていないため、記憶から引っ張ってこられなかったのだろう。
「で、その剣呑な気配はどうにかならんのか?」
「お前、無事に帰れるつもりか?」
「やめとけ。俺に傷の一つでもつければフレイヤが黙ってないぞ?」
「どっちにしろ終わってんだよ!」
「高認受けろ」
「テメェのせいで!」
そう言って一人が殴りかかってきた。拳が俺の頬を打つ。腰の入っていない素人技だったが痛みは本物だ。
「なんだかね……」
うんざりと呟いてしまう。気持ちはわからんじゃない。しっかし……ルサンチマンに支配されんでも。
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