第29話:乙女心の行く先は09
「金ちゃんはあたしのことどう思ってるの?」
「可愛い女の子」
「ふえ」
髪や瞳と同じ色になる朱美の頬。その色合いの意味を知っていながら、俺は気付かないフリをする。
「好き……でいてくれる?」
「親しくしていきたいな」
「キープ?」
「解釈は任せる」
別段外道と思われて離れるのなら、それは朱美の判断だ。
「あたしにもおっぱいがあれば……」
「あまり思い詰めないようにな」
先に言ったが胸に貴賤はない。
「でも金ちゃん、フレイヤにおっぱいをって……」
「ああ、それな」
頭痛を覚える。
「どうもフレイヤは俺に母親らしいことをしてやりたいらしい」
「それで何でエッチの方向に行くの?」
「子どもにおっぱいを吸って貰うのが夢なんだと」
――意味分からんよな。
肩をすくめる俺だった。
「吸ったの?」
「なわけあるか」
「あ、あたしのおっぱいじゃ吸う気にならない?」
「ならんな」
「あう……」
無乳だから……ではない。
「もうちょっと貞操を考えろ。俺は清純な女子が好みだ」
「鏡花とか?」
「アレはアレで大和撫子だが……」
「鋭利な感性も持ってるしね」
「然りだな」
泣き虫鏡花。そうには違いないのだ。
「ま、別にお前が気に病むことじゃない」
「そうならいいんだけど……」
そうじゃないから問題だ……か。まぁな。
「お前はもうちょっと自信を持った方が良い」
「だっておっぱい大きくないし……」
ふにふに。俺の腕に絡みつけている腕とは逆の手で自身の胸を揉む朱美。
「どうしてもそこに行き着くのな」
こめかみを押さえる俺。
「金ちゃんが誠実なことは知ってるけど……」
けど?
「性的象徴が無いのはガックリだよ」
俺にどう答えろというのだ、お前は。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます