第27話:乙女心の行く先は07
「文化祭の午前中にさ……オークションやろうよ」
「何の?」
「もちろんメイド喫茶のお客さんの権利」
「あー……つまり……」
「そう。メイド喫茶に招くのは一人だけ。可愛い鏡花ちゃんや朱美ちゃんにメイド服でご奉仕して貰うっていうのは?」
「フレイヤもな」
「それはもちろん」
「鏡花はどう思う?」
「あまり愉快な気分にはなれませんが。かと言って対案も出せません」
「俺もだ」
「じゃあ決まり。オークションについての設定はこっちでやっておくよ」
「メイド服はどうするんだ?」
「鏡花ちゃんは裁縫できる?」
「素人に自慢できる程度には」
「朱美ちゃんは?」
「…………」
「不器用だからなぁ彼奴」
「金也ちゃんは?」
「何で俺がメイド服作らにゃならんのよ?」
「メイド喫茶なんだからメイド服を着るのは当たり前でしょ?」
「誰が得する」
「私!」
「黙らっしゃい」
「せっかく可愛く産んであげたんだから少しは参加してよ。金也ちゃんの女装はきっと本当に受けるよ?」
「うれしくねえよ」
「おっぱい吸わせてあげるから」
「お前のおっぱいはいらねぇよ」
「では兄さん? 私のおっぱいは?」
「お前のおっぱいもいらねぇよ」
ここに朱美がいなくて本当に良かった。パイオツについて酷いコンプレックスを持っているからな。
「却下」
「それを却下」
「どうしても俺をメイドにしたいのか?」
「きっと似合うって。金也ちゃん美少年だから」
顔だけ男だからな。
「俺のプライドはどうなる?」
「見てる馬鹿より踊る馬鹿の方が好きだな」
「さいか」
どうにも人の話が通じないところがあるなコイツは。
「兄さん……」
「わかってる」
ここまで俺を振り回す女子も珍しい。
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