第40話 決闘の裏で

「なんで病院が?」


「それはわかんねーけどよ、病院は既にテロリストに占拠されている」


ゲンさんの車に乗せられ急ぎ自分達の居場所へ戻る3人。


「そんな・・・・・」


「テロリストの要求は?」


「・・・・・お前さんじゃ新。」


「!?」


「新さんを?・・・・・なんで?」


「それもわからん。ただ新お前さんが鍵なのは確かだ。」


現場に到着する一同。病院周辺は既に封鎖され多くの野次馬が集まっていた。


「おっ渡じゃないか?」


「お前なんかやったのかよ?」


「俺が知るか」


「病院が使えなくなるのは不便だわ、なんとかして」


「勿論。そのつもりだ」


「煩いぞ貴様ら、そこを通せ」


群衆を押しのけ、警備兵が姿を見せる。


「渡新。状況は聞いているな」


「あぁ」


「よし。来い」


封鎖エリアに足を踏み入れる直前、裾を引っ張られる新。


「山内、お前」


「一時的に許可を貰ってるの。それよりも、頼んだわよ」


「あぁ、必ず真由ちゃんは守る」


真緒は頷くと裾を離し新を見送った。


「貴様の要求通り、渡新を連れてきた」


「・・・・・渡新。1人で入れ」


「ということだ、あとは任せる」


同伴した警備兵は持ち場に戻る。


(いつも広間に取り残されてる人達がいない・・・・・)


「おい、どこに迎えばいい?」


自分の声が虚しく響く。


(まずは真由ちゃんの無事を確認するか………そもそもテロリストってのは何人いるんだ?)


バイブ音に気づく。



テロリストは10人。主犯格は北エリア所属の名は桂木草木(かつらぎくさき)。連続殺人で死刑判決を受けた男。突発的に人を殺傷する恐れがあり言動には注意。尚流川学と親交があったとされる。



(流川学………って、あの『クリエイト』のパイロットだよな?そいつと関わりが…………)


「突発的に人を殺傷って………どう動けばいいんだよ」


キャー


「!?」


(今のはやっぱり患者だよな、そんな奴らがウロウロしてたらただでさえ弱ってる患者には堪えるよな。真由ちゃん………大丈夫だよな?)


嫌な静けさが感覚を研ぎ澄ましてる肌に滲みる。


「にしても何処へ迎えばいいんだよ」


パーン、パーン!!!


「!?銃声」


咄嗟に身を隠す。



カツカツカツカツ


靴の音がフロアに響く。


「………コイツも関係なさそうだね〜」


何処か憎たらしい声。新には聞き覚えがあった。


「う〜ん、もしかしてそこにいるのって渡新?」


(!?気づいた。しっかり隠れたつもりだが)


「あれ?違ったかな、だとしたらマズいな」


(ここは、姿を見せた方が得策か、だが万が一違った場合はもしかしたら…………いや!ここは)


両手を挙げ、身を乗り出す。


「!?やっぱり渡新!なんか久しぶりだね」


「なんでお前ここにいるんだ?」


そこにはポケットに手を突っ込むスーツ姿の清水圭太がいた。




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