第36話 解放者
「よくやった渡新。」
大島率いる部隊が『クリエイト』開催場所に合流し、現場の処理にあたっていた。
「どうも」
「腕はいいのか、敵の動きを止める為に右腕に剣がめり込んでいるように見えたが」
「痛みはありますけど、大丈夫です」
「そうか」
「それで、なんなんです?アレ」
「まだわからないことが多いな、少なくとも流川学は死んだ。原因も現時点ではわからない、『イシュタル』は中東の国製というのはわかった。それ以外にはコックピットの座席に見慣れないノズルが2本付いていることだな」
「それが気になるんですよ。あの『イシュタル』をあそこまで高機動で動かすのに必要な装備パーツなんじゃないかって」
「そうだな。調べた限り他は既存機と変らないから、あそこまでの高機動はこの2本のパイプがもたらしたと考えるのが妥当だろう」
「嫌な感じがしたんですよね。再び動き出した瞬間。まるであの男の意思とは無関係に動いているみたいな」
「そうか。」
「決着がついたようですね」
「!?」
突然無線から聞こえる主犯格の声
「我々の勝利です」
レナが応対しているのが耳から伝わる。
「では我々の条件通り教えてもらえますか?貴方の正体?」
「…………。」
「お約束しましたよね?」
「宇佐美幕僚長。恐ろしい方だ。その自信に満ちた表情………勝つと確信していたようだ」
「私の仲間は皆さん優秀ですから」
「幕僚長…………」
「…………」
「僕の名前は…………ヤマト」
「北エリアに該当する人物はいません!」
「…………どういうつもりですか?」
「よく調べてくださいよ。変わった苗字なんです」
「もしかして………この人」
「邪馬兎武瑠(やまとたける)………」
「場所はエリア13のA地点」
「到着次第突入してください。」
「……………。」
「こちらa-1部屋には誰もいない」
「逃げられた?」
「机の上にスピーカーが置いてあるだけです」
画面には突入したaチームだけが写っていた。
「敵のフィールドに勢いで入るのは危険ですよ?」
突然画面が白い煙に包まれる。
「なんだこれはウォアー」
「苦しい…………」
「突入したaチーム全員バイタル消失」
「!?邪馬兎さん貴方…………」
「僕達の計画を邪魔したことに対するちょっとした嫌がらせさ。そしてここに宣言する」
「…………宣言?」
「反パラテネ武装組織『リリヴェレイト』は日本国パラテネに対して宣戦布告する」
「『リリヴェレイト』…………」
「次からは、同じ土俵でやるつもりはないから覚悟しておくといい。ではまた会いましょう日本のパラテネに住まう皆さん」
「待ちなさい邪馬兎さん!」
「声明切れました」
突如として宣言されたテロリストからの宣戦布告。時代は大きなうねりを引き起こそうとしていた…………。
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