第31話 嵐の突撃
「1人の女性に対して複数人でかかるなど、男としての誇りは貴公らにはないのか?」
「てめーよくも」
「おい、落ち着け。・・・・・流石はレディーファーストの国の男だ。女のピンチには例え地球の裏側だろうと助けにくるんでしょうな!ハハハッ」
「そうですね。助けを求める声あればどこえでも駆けつける。そのような国柄ゆえ自然と身体が動いてしまうのです」
「ではその崇高な精神をどこまで貫くことが出来るか見せてもらおうか」
『ローマ皇国』の『イシュタル』も1機が再び上空に弾丸を打ち上げる。
「【ストーム・アサルト】で対処。その後対象を排除です」
「イエス・サー」
『ブリタニア王国』の『イシュタル』3機が盾を構えながらJ-3の『イシュタル』目掛け突撃してくる。
「動かないで、真緒さん」
「えっ」
上空に上がっていた弾丸が炸裂し周辺に飛び散る。
(クラスター弾から守ってくれた?)
J-3を守り切った3機は弾丸を放った『イシュタル』目掛けて突撃する。
「その針つきの盾で俺を押しつぶそうってかあめー・・・・」
その刹那。放たれた針が機体を串刺しにする。
「なっ飛ばせるのかよ・・・・・」
「あらゆる可能性を考慮せず戦場に出てきたツケです。自らの死で悔いなさい」
「なんだと、テメーら」
残った1機はB-1目掛け突っ込んでいく。
「どうやら剣を抜く必要も無さそうですね」
(こいつの機体には他のヤツみたいな針はついてないビビる必要はない)
近接攻撃を盾を利用しながら華麗に躱すB-1。
「いつまで凌げるかな?ジェントルマンさんよってなに」
突然盾の先端が右腕を貫く。
「隠し刃だと・・・」
「隠してませんよ。私の盾がただ先端が鋭利で刃物になっているだけです。あっでもこれは隠してることになりますかね」
背部にセットされた小型機銃が腰部にジョイントされ、連射される。
「背部のそれ、マシンガンかよ・・・・」
蜂の巣になった『イシュタル』が力なく崩れ落ちた。
「ようやく邪魔者がいなくなりました。」
「どうも」
「いえいえ、私の標的についたハエを追い払っただけですので」
「・・・・そうですよね」
囲まれるJ-3。
(まださっきの3機の方が対処しやすかったかも)
「さぁ昨日の続きと行きましょうか?真緒さん」
「お手柔らかにお願いします」
(順調に数が減ってるな、そのままどんどんへっていけ)
開始から暫くは動きをみせなかった『フランス共和国』はとある異変に気がつき重い腰を上げた。
(日本の機体が2機足りない………どこに消えたんだ)
「こちらF-4。F-1日本の機体と思われるマーカーを補足。転送する」
「了解。流石はF-4の電磁機器対策だ。継続して情報の更新を頼む。F-2.3は更新されたポイントの敵を襲撃する。ついて来い」
「了解」「……了解」
ようやく見つけた日本の機体を囲む3機体。
(なんだ………支援に夢中で自分の周り状況に気づいてないのか?)
「F-1。配置についたよどうする?」
「こちらF-3。同じく配置についた」
「よし、10カウントで攻撃する。俺とF-2でアタック。F-3は周囲を警戒しつつ俺達を砲撃支援だ」
「了解」「了解」
「…………1。Go!!」
一直線に目標目掛けて突撃するF-1
「どうしたF-2遅れているぞ」
「ごめん。敵襲にあってるそちらには行けない」
「チッ、持ち堪えろ。こいつを仕留めた後にすぐにF-3に支援砲撃させる」
「…………」
「了解。頼むよ」
(どういうことだ?いくら防御型に調整してあったとしてもF-3の砲撃とこの発砲を同時に受けてビクともしないだと)
マーカーでの距離が徐々につまり砲撃で目視出来なかった敵機が徐々に目に止まる。
対峙する距離が300m切った時。F-1に衝撃が走る。
「なに!?シールドだと!!これは偽のマーカーだというのか!!!F-4どうなっている」
「…………いくら解析してもマーカーに更新ありません。これは敵独自の技術としか」
「そんなことどうだっていい、早く本当の位置を……………」
F-1のコックピットに精密な射撃が貫いた。
「ターゲット1機撃破。お見事」
「…………。」
「そのマントやっぱいいね。【Sマント】だろ?狙撃手には持ってこいだ。」
「全身をレーダー探知妨害機器【RSシャウト】で固めて、かつ対象範囲内の電磁機器をハッキングし自分の意のままにコントロール出来る【HC208】。更に盾には自身を居場所を偽装出来る。ビーコン発生装置を装備した完全ステルス機でその発言。皮肉もいいとこだ」
「通信だだ漏れだし機体の情報ベラベラ話してほしくはないな」
「ふん。どうせそこまで出来る装備だ【コンタクト弾】対策など簡単に出来るのだろ?」
「さぁ〜」
「それで、どうする残りのフランス機。やるのか?」
「いいのかい?」
「昨日少し話しただけだ。情などかける義理もない」
「わかった………ってその必要は無いみたいだ」
『フランス共和国』の降伏受理。『フランス共和国』敗退。
突然のアナウンス。それは戦いに研ぎ澄まされていた者達を一瞬我に返した。
「降伏!?『クリエイト』でそんな事可能なのかよ」
「案件が案件だからね、本来人が命賭けて決める内容じゃないと国連も思ってるのかもな。だから認められてるんじゃないか?てか『クリエイト』の申請をしたフランスがいの一番に降伏かよ」
「あんたはどうする?」
「なんだ新私を………って他の奴ら逝ってんのかよ」
「気づいて無かったのか?」
「お前とのバトルに夢中でな、それにうちでもそこそこ実力ある連中を連れてきたつもりだったんだがな」
「·…·…あんたはどうする?」
「どうして欲しい?」
「これ以上は無意味だと思う。あんたにとって」
「私にとってはそうだが、こんな糞案件でも国を背負ってるからね。さあ続きといこうじゃないか新!!」
「!?馬鹿野郎ー!!」
「…………私達も撤退しましょう」
「よろしいのですか?伯爵」
「『クリエイト』の提案をした国が撤退したのです。我々とて無駄な血を流す気は微塵もありません。そうでしょう?」
「ですが………」
「貴公らの懸念することも重々承知しているつもりです。責任は勿論私がとります」
「伯爵それは!」
「戦闘放棄を命じたのは私です。それで咎を受けるとすればそれは至極真っ当な措置です。貴公らが気に病むことは決してありません」
「それにもし彼の国が勝利を治めれば、我々にも利はあります」
「…………そうなのですね。そこまで伯爵が仰るのなら」
『ブリタニア王国』降伏受理。『ブリタニア王国』敗退。
「もう降伏してくれ!これ以上あんたが戦うことないだろ!?」
「自分の物差しで人に押し付けるんじゃないよ新。言ったろ私は国を背負ってるんだ。『聖十字軍』に撤退の2文字は存在しないんだよ!ウグッ」
R-1の『イシュタル』の左太太腿に精密な射撃が貫かれる。
「J-4さっさと仕留めてくれ、後はその機体だけだ」
「糞!止めるにはこれしかないのか!?」
「早く殺れ、お前が殺られるぞJ-4」
「ウォーー」
R-1機能停止確認。『ローマ皇国』全滅。勝者『日本国』
「…………甘いな、新」
「大丈夫か?」
「人の腹突いといてよく言うぜ、子ども産めなくなったら責任取れよ」
「なっ!?」
「カッカッカッ、若いね〜。まぁでも助かったよ。借りを1つ作っちまったな」
「そんなの気にすんな」
「私が納得いかない。いつかその時が来たら必ずな」
「ふん。好きにしろ」
「J-4本当の『クリエイト』ではその情け………止めてくれよ」
「勿論だ」
「あとJ-3とさっきから連絡が取れない」
「なんだって?」
「一番近くにいるのは君だ。確認してくれ」
「………了解」
(J-3の機体は生きてる。なのになんで…………!?)
「J-3!?」
「どうしたJ-4」
「機体が大破してる、急いで来てくれ」
「なに!?ビーコンは健在だぞ」
「左腕、右足破壊。機体中に傷がある!急いでくれ」
「了解した。すぐにそちらへ向かう」
機体を降り、J-3の『イシュタル』に駆けつける新。
意識は………無いようだ。
「おいJ-3しっかりしろ、山内!!」
新の声が戦場に無情にも木霊した。
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