第29話 集結

「君達なにかあった?」


3人の様子に違和感を覚える清水。


「特に渡くん。見るからに体調よくなさそうだけど」


「気にしないでくれ、なんともないから」


「酒臭い。」


「初の海外旅行でハッチャけたのかい?」


「『カルケル』内なら別に始めてって訳じゃない」


「そうか、彼はともかく君達までどうしたんだい?」


「別になんにもない」


「………今回戦う相手に会ったの」


「!?」「!?」「へぇ〜」


「とても『この世界』にいるべき人には見えなかったから気になったのよね」


「どんな人?」


「『ブリタニア王国』の方でとても高貴な佇まいで、本当に『カウサ』って思って」


「『アーサー·スペンサー』」


「!?どうしてわかったの?」


「『ブリタニア王国』はロイヤルファミリーの関係者が『パラテネ』を管理しているんだ。その関係者こそ『スペンサー家』」


「あの人やっぱり……だから伯爵って周囲が呼んでたんだ」


「よりによってアーサーか、ブリタニアの本気度が伺えるよ。」


「えっ?」


「『アーサー·スペンサー』は『スペンサー家』の中でも指折りの実力者と聞いているよ」


「そんな方が『クリエイト』に」


「[民の上に立つ者。自らが道標となり国を照らさん]………。貴族の国にして紳士の国らしいよね。王族関係者が参戦するなんて」


「…………。」


「でっ、君達もどっかの国の誰かと会っちゃった感じ?」


「俺はフランスの奴だった」


「ふむ………3人組かい?」


「!?そうだ。何故わかった。」


「フランスの『ラングレー·一家』は家族ならでばの連携で敵を翻弄し倒す。優秀なパイロットチームだと噂に聞いているよ」


「ちっ、もっと情報を集めておくんだった」


「でっ、君は指図め『ローマ皇国』の『エルサ·ベッキア』にでも会ったか?渡くん。」


「なんでそれを」


「元々の僕の仕事だからね。『エルサ·ベッキア』は『ローマ皇国』の『カルケル』エリート部隊『聖十字軍』の隊長の1人。酒豪で有名で情報収集に対象の相手を酒の飲み比べと称して酔わせ判断力の鈍った所に色仕掛けをして吐かせる事で有名な女だ。」


「貴方まさか…………」


「そんなことしてない………と思う」


「まぁ吐かせようにも僕達の関係ってそこまで深くないこの『クリエイト』限定のメンバーだし、大した情報は得られなかったんじゃないか?君と山内くんの情報以外は」


「なんで、私?」


「君達は普段の『クリエイト』でもよく組む機会があるそうじゃないか。」


「…………。」


「だからしてないって………多分」


「最低。」


「決めつけるな!」


「これは案外面白い『クリエイト』になりそうだよ」


不敵な笑みを浮かべる清水。その笑みに3人は困惑した。



「これより、『クリエイト』を開始します。各国のリーダー。よろしいですか?」


国連クリエイト管理委員会委員長のフェイのアナウンスに各国リーダーが反応する。


「B-1よりCP(コマンド·ポスト)。『ブリタニア王国』OK」


「F-1よりCP。『フランス共和国』OKだ」


「R-1よりCP。『ローマ皇国』いつでもいいよ」


「J-1よりCP。『日本国』OKです。」


「ではこれより『クリエイト』開始します。」


4カ国が入り乱れるバトルロワイヤルが今、幕を開けた。


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