第28話 各々の出会い・参

(糞、ヤツのせいでイラつきが収まらん)


杉本は町中で見つけた図書館で読書をしていた。


「・・・・集中出来ん」


自分の趣味にすら没頭出来ない状態が杉本の心理状態を物語っていた。


「!?すまん。大丈夫か」


図書館から一歩踏み出した杉本は誰かとぶつかってしまう。


「・・・・・。」


「大丈夫か?」(肌の白い男・・・子?)


「なんで怒っているの?」


「なに?」


「ぶつかってきたの貴方でしょ?」


「・・・・・謝罪している。返事くらいしてくれてもいいんじゃないか?」


「謝ってた?」


「あぁ。そうだ謝ってた」


「・・・・・翻訳機能が反応しなかった。」


「なに?・・・・・じゃあこれでどうだ?ごめんなさい」


「うん。いいよ」


(腕時計の翻訳機能の誤作動?海外では通じない日本語があるのか?)


「お兄さん日本人?」


「そうだ」


「なんでここにいるの?」


「仕事だ」


「そっか、珍しいね」


「珍しい?何が」


「日本人の『カウサ』って外に出ること無いって聞いたけど」


「確かに滅多に外には出ないな」


「そんな滅多に無いこと仕事で?」


「悪いか?」


「別に」


「カミーユ!ここにいたの?」


男女が杉本とぶつかった子を探していたようで走って近づいてくる。


「すみません。ウチの子がご迷惑おかけしました。」


「いえ、ぶつかったのはこちらなので」


「大丈夫なの?カミーユ」


「平気」


「おや?もしかして貴方今回の『クリエイト』に参加する日本の方ですか?」


「………。」


「実は僕達家族もなんですよ」


「!?」


(家族で『クリエイト』に出るだと?正気かこいつら)


「ちょっと、リュカ!余計な事話さないでよ。あの方が知ったら」


「なに心配無いさ。君達は僕が必ず守る。ルイーズ」


「リュカ………」


「外でイチャつくのやめてって言ってるよね」


「ごめん。カミーユ」


「家族でとは珍しい。兄妹ですか?」


「そうです!3人兄妹なんです。」


「もうリュカ!喋り過ぎよ」


「ごめんごめん。僕達外国に凄く興味があるんです。良かったら日本の事教えてくれませんか?」


「…………話せることなんて無いと思うぞ。『本来の世界』から離れて久しいからな」


「ここで会ったのもなにかの縁。よかったら貴方の日本の思い出聞かせてください!」


「すまんがこれから戦う奴らと話す舌は持ち合わせていない」


「そうですか、それは残念です」


「すみません、リュカが。えっと………」


「杉本恒星だ」


「すみません。恒星さんどうかリュカの無礼を詫びさせてください」


「いや、気にしてないしそもそも俺が君達の弟にぶつかったのが悪いんだ」


「………そうだよ。元々お前がぶつかってきたんだ。こっちが謝る必要ないよ」


「ちょっとカミーユ!すみません。恒星さん」


「…………わかりました、2人とも。」


「では私達これで失礼しますね。恒星さん」


「明日はよろしくお願いするよ!恒星」


「あぁ」


自分の常識から外れた3人をただ恒星は見送った。





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