この世界の裏側で・・・

第22話 互いの想い

「よっよお・・・・今帰りか？」

「えっ、あっ・・・・」

「！？。ごめん」

「なんで謝るの？」

「それは・・・・縁切ったヤツと話すの嫌だろ？お前」

「いや・・・・その・・・・」

「・・・・お疲れな」

外へ出ていこうとする新。

「待って！」

呼び止められたことに若干動揺する新。

「今、時間ある？」

近くの公園に移動した2人。

「ごめんなさい。用事あったんでしょ？」

「いや、ゲンさんに『イシュタル』のことで相談したくて許可を取りに行こうとしてただけだから、気にすんな」

「そう………」

「…………。」

「…………。」

「まさかお前から話しかけてくるとは思わなかったぜ」

「えっ」

「コンから、お前と仲直りして欲しいとは言われていたが。彼処まで言われた俺がどうお前に話しかけていいのかわからなくてな」

「ごめんなさい」

「あっ、すまん。そんなつもりで言ったんじゃないんだ」

「…………」

「…………」

「私ね、怖いの」

「怖い？」

「信じたモノに裏切られるの」

「…………」

「あの心を引き裂かれるような思いをもうしたくなかった。」

「そうか」

「だから、もう世界と関わるのは避けてきた。私には妹がいれば。それで充分だから」

(前に一度見たあの娘か)

「なのに、それなのに貴方は私の心にづけづけと入って私の心を乱す」

「山内………」

「もう一度、信じてもいいかもって思った。貴方なら、でもあの話しを聞いた時。そっかやはり貴方もそういう人なのかって思ってしまった」

「…………」

「けど知ってしまった。貴方の罪」

「………えっ」

「どうして？なんで貴方はそんなに気丈でいられるの？その手を汚しながら。何故？」

「俺のこの世で一番大切な人を守りたかった。前にも言ったっけな」

「それでも１人の一生を貴方の欲望で終わらせたのよ？」

「そうだな、それは紛れもない事実だ。俺の行いが正しかったのか………それは俺が決めることではない。ただ」

「ただ？」

「俺は俺の信じた事をした。それに後悔はない。それにその結果で出てしまった犠牲を無かった事にするつもりは無いし忘れるつもりは無い」

「…………もし、また同じような事になったら」

「変わらない。………出来ればもっといい方法を選びたいけどな」

「その行いによって、その者が救われたと思う？」

「わからない。そうであると願ってはいるけどな」

(そうか貴方は私に無い強さを持っている。だから………)

「山内？」

「…………一度失った信用を取り戻すのは大変よ」

「知ってる。それでも俺は俺であり続ける」

「そう………」

月火の下の公園で互いの想いを語り合う2人、2人の刻は再び静かに動き始めた。