第7話 真相
おばあちゃん達に、どう説明しようかとザナトールに抱えられながら、頭を悩ませていた。
ふとザナトールの顔を見る。
あ、やっぱりイケメン…
でもついさっきまで、少年だったのよね。
ま、少年の時も整った顔だなぁとは思ってたけど。
小屋に着いても、どう説明したらいあのか、まだ一人であーでもない、こーでもないと頭を抱えていた。
「心配ない、ミナミ。全て理解しているだろう。」
そう言うとザナトールは、私を抱き抱えたままドアを蹴り開けた。
「何だい、身長がでかくなったからって、態度もでかくなるのかい?」
「お~やっぱりイイ顔だなぁ。もともとの素材がよかったからね~」
『ようやくか。いつまで待たせるつもりじゃ!小僧!』
あれ?
みんな普通?
「あ、あのさ、この人ザナトールなの!湖でね、大きなヘビみたいのに襲われて…あ!ザナトールって少年の名前ね!…もう少年じゃないけど…」
「ギャーギャー煩いね、お茶を入れておくれ。」
「おばーちゃん!なんでいつもと同じなの?!不思議じゃないの??」
「そんなの、あんたを拾った時に、全部わかってることさね。」
「は?」
「ほら、さっさとお茶入れな!話が進まんじゃろうが!」
渋々お茶を入れに行った…
「さて、どこから話そうかね。」
おばあちゃんは、お茶をぐっと飲んで話し始めた。
「ミナミ、あんたは別の世界から来た “時渡り“ なんだ。」
「知ってたの?!え?時渡り??」
「そう、この世界は女神が統治している。その女神の手となり足となるのが “時渡り“ なんじゃよ。胸くそ悪いがね。」
あれ?おばあちゃん?
「女神そのものは、全能神と呼ばれる大神から、力を与えられていて、その力を使っているのさ。ただ、女神自身のみでは現世界に直接関与は出来ない。そこで女神の手となる者が必要となったのさ。」
『自分は手を出さず、高見の見物なぞ、旨い汁だけ啜っておる。不快極まりない。』
え?くーちゃんも?
「この世界の住人はもともと魔力、精神力が低い。そんな器じゃ神の力は使えない。
だから女神はこの世界以外の者をここに召還する術を考えた。本当、クソな考え方だ。自分勝手もいいとこだよ。」
ぐ、グランも??
「そして異世界からの召還も成功した。
だが、異世界者は、器としては申し分ないが、この世界の魔力には馴染まない。今度は器から力を取り出し、使える者が必要になる。」
私を膝に抱き抱えながら、ザナトールが話す。
ってか、いつの間に膝に乗せてる?!
「その力を使う者を “片翼“ と呼ぶ。片翼は人ではない。
精霊…と言えばイメージできるか?」
「うん。物語で読んだことはあるくらいだけど…」
「女神の力を使える器も、その為の片翼も用意できた。その力のお陰で、この世界のまがいと呼ばれる不浄なものを浄化していた。この世界は平和になるはずだった。」
私を抱えるザナの腕がぐっと力んだ。
「そもそも、異世界から呼び寄せて、自分の世界を平和に統治しようなんて、歪みが起きることはわかっていたはずなんだ。しかし、何とかして全能神からの信頼を得たかった女神は、敢えてその問題から目を背けた。」
「……で、どうなったの?」
『崩壊…じゃよ。女神自身のな。』
「でも女神さんが居なくなったら、この世界は…」
「滅ぶ。そして再生する。新しい女神がまた全能神から生まれる。」
「なんだか…すごくスケールの大きい話で…」
手の先が痺れる。
ってか震えてるんだ、私。
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