最終話 

「……朱理、もう限界だ」

「ふふ、お疲れ様♡」


 朱理がチュッと唇にキスしてきた。お返しに僕も軽くキスする。

 すると、彼女は「えへへ」と蕩けた笑顔を咲かせる。

 つられて僕も笑った。


 今日も僕たちは愛を確かめ合った。そのせいでベッドのシーツがクチャクチャだ。床には制服や下着が散らばっている。

 

「さてと、一緒にお風呂入ろっか」

「だなぁ……」


 僕たちは指を絡めるように手を繋いで部屋を後にする。

 一階に続く階段を下りて、お風呂場にやってきた。


「2人で入ると狭いなぁ」

「あはは、そうだね……」


 朱理の家のお風呂場は狭くて、自然と僕の身体と朱理の身体が密着してしまう。

 チラッと朱理の胸に目を向けると、彼女の顔はカッと赤くなる。


「もぉ……そんなにおっぱい見ないでよ。祐二くんのエッチぃ……」

「す、すまんっ……」

 

 僕はそう言って朱理の胸から目を逸らす。けど、すぐに彼女の胸をチラ見してしまう。

 そんな僕を見て、朱理は「はぁ……」とため息を吐く。

 呆れている様子だった。


「祐二くんはアタシのおっぱい大好きだよね」

「はいっ、めっちゃ好きですっ」

「世界で一番好き?」

「もちろんだよっ、世界で一番好きだ」

「ぷくく、エッチさんだね、祐二くんは」

「……お前に言われたくねぇよ」


 今日は朱理から『祐二くん、しよう?』と誘ってきた。

 甘美な誘惑に我慢できなくなった僕は、大好きな彼女とベッドの上でプロレスごっこをした。

 一回戦目が終わったあと、また朱理が『祐二くん、もっとしよう……』と甘い声で誘ってきた。

 

『も、もう無理だって……』

『ダメっ……もっとしようっ』

『きゅ、休憩は?』

『そんなの必要ないでしょ?』

『いや、流石にそれは……え!? ちょ、ちょっと朱理さんっ!?』

『えへへ、祐二くん♪ 大好きだよっ♡』


 結局、僕たちは10回も愛を確かめ合った。流石に疲れたよ。全身が異常な虚脱感に包まれて、何もする気になれない。

 にしても、今日の朱理は本当に凄かったなぁ。

 

「祐二くん、背中洗ってあげるね」

「え? あっ、うん、ありがとう」


 朱理は僕の後ろに回り込んで、背中を洗ってくれる。

 しばらくして彼女はお湯で僕の背中を洗い流す。

 

「今度は僕が洗おうか?」

「うんっ♪ お願い♪」


 僕は朱理の背中に回り込んで、ボディソープを手に持つ。

 ボディソープの頭をプッシュすると、透明な乳液が出てきた。

 その乳液を泡立ててから、慎重に朱理の身体を洗い始める。

 朱理の身体は皺一つなくて本当に綺麗だ。思わず見惚れてしまう。


 朱理の身体は本当に綺麗だなぁ。

 なんてこと思いながら朱理の身体を洗っていると、彼女が「きゃっ」と甲高い声を上げる。


「もう祐二くんったら……どこ触ってんの?」

「ダメ?」

「ううん、もっと触っていいよ♪」

「ありがとうっ」


 お風呂場でも僕たちはイチャイチャする。

 本当に幸せだ。

 

 ちゃんと朱理の身体を洗ったあと、僕は緩慢と湯船に腰を下ろす。

 僕の身体が温かいお湯に包まれて、心と体が癒される。

 最高だぁぁ~。


 朱理は僕の胸板を背もたれにして湯船に浸かる。

 そんな彼女を、僕は後ろからギュッと抱きしめた。すると、彼女は「ふふっ」と幸せそうに微笑む。


 モミモミと朱理の胸を堪能していると、朱理が「ねぇ祐二くん」と僕の名前を呼んできた。


「ん? どうした?」

「昨日、優衣ちゃんに告白されたんでしょ?」

「……まぁな」

「ちゃんと断ったんだよね……?」

「当たり前だろ」


 僕の言葉に朱理は「はぁ……」と安堵のため息を吐く。


 昨日、優衣が僕に告白してきた。

 告白は凄く嬉しかったけど、僕には大切な彼女がいる。

 だから、優衣の告白には『ごめん、お前とは付き合えないっ』と返事した。

 僕の返事を聞いて、優衣はバカみたいに泣き始めたよ。

 泣いている優衣の姿を思い出して、ギュッと胸が締め付けられる。

 告白は振る側も辛いんだなぁ。知らなかったよ……。

 

「なぁ朱理」

「ん? なに……?」

「大好きだっ、愛してる」

「え? あっ、うん……アタシもだよ、祐二くん。これからもずっと一緒にいようね」

「ああ……絶対に結婚しような」

「ふぇっ!?」


 僕の言葉に朱理の顔はカッと沸騰するほど赤くなる。

 魚のように口をパクパクしていた。


「あ、アタシと結婚したいの……?」

「うんっ、したいっ。朱理は……?」

「そ、そりゃアタシも祐二くんと結婚したいよ……」

「本当か?」

「うん……本当だよっ」


 朱理は身体を反転させて、僕の顔を見つめる。 

 彼女の顔は真剣だった。嘘や冗談を言っているようには見えない。


「祐二くん、絶対に結婚しようね」

「うんっ」


 僕の返事に朱理は幸せそうな表情になる。


「子供は何人ほしい?」

「サッカーチーム作れるぐらい欲しいかな」

「もう祐二くんのエッチ……」


 朱理はそう言ってギュッと僕を抱きしめてくれる。

 それと同時にマシュマロのような柔らかい感触が押しつけられる。

 僕もそっと朱理を抱き返した。

 

「朱理、僕のこと好きになってくれてありがとうな。朱理のこと絶対に幸せにするから」

「うん……絶対に幸せにしてね?」

「ああ」


 僕たちはゆっくりと顔を近づけて、再び愛を確かめ合った。



















 完結

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