第54話 1000年先も

1000年先も


「おばあちゃんとおじいちゃんは、同じ職場先で出逢ったんだよね。」

大好きなおばあちゃん家、最近は大嫌いなおじさんが夜勤に出かけてからこっそり家を抜け出して会いに行くから23時の訪問。毎回怒ることも無く迎え入れて温かいお茶と塩気がかなり効いたおにぎりを作ってくれるおばあちゃんに問いかけたことがあった。

「そうねぇ、おばあちゃんはもてたからねぇ笑結婚した時には周りがみんな驚いたんだよ、何故おじいちゃんなのって」

「逆じゃなくて?笑おじいちゃんモテそうだけどなぁ、すらっとしていて背も高くて、穏やかで優しくて頭もいいしスポーツも万能なんてモテ要素しかないじゃん笑」

「嘘よ逆よ逆!笑おばあちゃんの方がモテてたわよ、可愛いし愛想もいいしよく食べるしねぇ笑」

にわかには信じ難い。だがしかし、おじいちゃんの友達は1回も見た事がないがおばあちゃんには本当に友達が多いから、言っていることはあながち間違いでは無いのだろう。

「おじいちゃんが死んじゃって、寂しい?」

「そりゃあねぇ。」

「早く、おじいちゃんのところに行きたいと思う?」

「そりゃないよ笑あの人はなんだかんだ言いながら寂しがり屋だからね、待っててくれるよ。」

おじいちゃんは夢によく出てくる。大抵私のことを怒ってくるのだ、看護師がお前につとまるのか?とか、ばぁさんのご飯を食べにいけとか。

亡くなった人が夢に出てくるのは、成仏してないで現世に留まっているからだと私の家では考えている。

そのためおじさんもお母さんも私がおじいちゃんの夢を見たと言うと嫌な顔をしてやめろという。

ただおばあちゃんだけが嬉しそうに、話を聞いてくれるのだ。

「最近じいさん夢に出てくる?」

「出てきたよ笑そうめんが食べたいって言ってた、あと最近お菓子がねえなぁって」

「あんたが来ないから供え物がないんだよ、ほれそこのお菓子でも供えてやって」

生きている時も、死んでからも、生まれ変わる時ももしかしたらおばあちゃんとおじいちゃんはずっとずっと一緒にいるのかもしれない。

とても素敵だな、とおもった。

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