第50話 プレゼント

プレゼント


ずっとクリスマスのことを考えていた期間があった。

現実が辛くなったらクリスマスのことを考えてやる気に変えていた時があった。勉強が辛くても、仕事が辛くてもクリスマスの日のために頑張った。

クリスマスの日にプレゼントを渡すこと、それが私にとって今年最大の使命だったが、叶う日は来なかった。


1人で今年もクリスマスを過ごすことが決まった時、途方もない虚無感に襲われた。

きっと彼は別の彼女と一緒に過ごすのだろう、

プレゼント交換をして、美味しいお店に行ってご飯を食べて

今年のクリスマスは新月だから星を見に行くのも素敵だ

考えていたことを他の子と実行していると勝手に脳が思案してしまうのを止められなくて、クリスマスなんて一生来なくていいと思った

それか私だけ昏睡状態にしてくれと本気で願った

神様は意地悪で、昏睡状態にはしてくれなかった。

見かねた私にクリスマス一緒に過ごしてくれる人を用意してくれた。

違う、いま欲しかったのはそうでは無い

クリスマスのことなんて、プレゼントのことなんて全く考えたくないの

なんでそんな、そんなことするの


あっという間に24日が来てしまった。

私はまだ彼へのプレゼントを決められていない。

決める気がなかった訳では無い、何かが壊れる気がして本当に決められなかった。

プレゼントがないと言ったら彼はどんな表情を浮かべるのだろうか。

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