第40話 木枯らし

さあああっと、冷たい風が時折ふいてはっとさせる

もしも、もうすこし違う私が望む世界線ならどうなってたのかなって


「木枯らしは、秋はもうないと思ってたのに、なぜ戻ってきたの」

「旅に出ていたんだ。でも気になって気になって。元気?」

いつの日かの秋風が、木枯らしになって戻ってきた。

「元気だよ、見ての通り笑ここもだいぶ変わった」

「…そうだね。君はそれで、いいの?」

何が正解なのか分からないのは変わらない。

分からないのではなくて思考を放棄したと言った方が正しいだろうか

もう考えるのも嫌になってしまった。

「時の流れにね、感情を任せるとこうなってたの。これもある意味芸術なのかな」

「そうだね」

「私は文学的にも、理的にも生きたくなかった。芸術が好きだったからこれこそ私なのかも」

「よく分からないな笑」

「なんだろね、文学的とか理的に分析したらこの感情ってどうしようも無いものだし答えって絶対に出てくるんだよ。でも芸術的に考えてしまうから答えが出ないことこそが答えだ、個性がよく出ていて素晴らしい素敵だと考えてしまう。音楽なんか特にそうじゃない?みんな同じ音符とリズムを辿って同じ楽器を使って演奏するのにそこに個性が詰め込まれている。」

「ちょっと難しくて分からないけれど、君は感性が豊かなんだね」

「よく言われる笑」

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