第29話 夢と現実

夢と現実


夢の中の私は、いつも誰かと微笑んでいる

楽しそうにしていて、幸せそうにしていて

とても暖かくて居心地の良い夢の中にずっと居たいとおもう。

けれど現実は残酷なことに、ぬるま湯から私を引き上げる

現実の世界は、苦しい

ここは水中なのではないかと錯覚しそうになるほどに酸素が足りない

夢の世界に還らせてと、最近は現実に引き戻されてもどうにかして夢の世界に戻ることが多い

そうなると夢の中の私はキラキラ輝くけれど、時折夢の世界にも現実の私が紛れてきて

「現実を見なよ、酷いことになってるよ」

と睨みつけてくる。


「ねえ。ねえってば!!」

はっと顔を上げると、アマリリスの少女がいた。

「びっくりした、なになに」

「なんか最近ずっとぽやぽやしてるね」

「そうかな、ねえお散歩しよう」

「急だな笑いいよいいよいこう」

そうして2人、寒空の下暖かい飲み物を片手に夜道を歩いていた。

「その花、寒いところじゃ咲かないはずなのにまだ咲いてるんだね」

何時だか彼女が私のところに持ってきた、赤い大ぶりの花を今日も彼女は大切に持っていた。

「そうなの、すごいよね」

「その花何の花か知ってる?」

「知らない!咲いてるところは知ってるけど」

「だと思った笑…ハイビスカスって言うんだよ。アマリリスも素敵だけど君にピッタリだね笑」

「でももう、この花をどうしたらいいのか分からなくて」

「新しい花を咲かせたい人と咲かせればいいと思うよ、それまで大切にしてあげて。咲かせられるって思った時にアマリリスやハイビスカスでもない花が二人の間にうまれるよ」

「そう、願わくば私も新しい花をその人と咲かせたい。でもね、その人他に大切な人がいるかもしれなくて

どうするべき?」

「私だったらその人のことほんとにすきって思うなら手遅れにならないうちに気持ち伝えるかな、」

「な〜るほどありがとう検討します…そういえばさっき、蕾が見えた気がしたけどあれは何の花?」

「ん〜わかんない笑咲くまで分からない笑」

「そんなことある!?」


現実の世界は残酷で、苦しくて、怖いものが沢山ある

そんな中でも凍てつく寒さの中にほんのりと温かさをもっていて

はやく夢の世界ではなく現実でも沢山息を吸って陽の光を浴びて生きていきたい。

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