第20話 部屋の片隅で

真っ白な部屋の片隅で1人、考える。

この2ヶ月でいくつかの花が咲いた。

人と一緒にまた綺麗な花を咲かせたいとも思えた

それでもこの部屋から出ることは出来ないことにもどかしさを抱えていた。

なぜこの部屋に来てしまったのか、分からない限りは出られないそんな気がした。


なんでこの部屋に来ちゃったのだろう

きっかけはきっとあったけれどモヤがかかってしまったように思い出すことが出来ない。

思い出の整理をようやく始めることが出来たの

自分の中に思い出を取り込んで片付けていくのがしんどくて、それだけ幸せだったんだなって実感するとどこからともなく悲しい感情が溢れ出す


「なんでここから出られないんだろう、出られない限り君とも一緒になれない、いつまでもここに来てもらうのは忍びないし早く出れたらいいのに。ごめんね待たせてしまって」

「待つのにはなれてるといっただろう、焦らなくていいよ。ずっと待っているから。」

うさぎとこの部屋で一緒に過ごすことは出来ない。

花が咲かない環境だから。

ここには四季がないから、早く外に出て春を迎えなきゃと気持ちばかりが焦ってる

「…ごめんねありがとう、原因が分からなきゃだよね」

「君は環境の変化にとことん弱いからね。感受性が豊かなのはとてもいい事だけど今回はそれが裏目に出てしまったんだと思うよ。ゆっくり休んだ方がいい」


真っ白な部屋で1人考える

周りの人の温かさで、冬が来てもなんとか凍えずに済んでいる

でもそれも無くなってしまったら?

また1人で冬を迎えることになったら?

その時こそ本当に自分が何をしでかすのかわからないからこわい。

人の温もりはとても暖かい。けれど同時に失った時の喪失感はとてつもなく大きい。

きっとそれが怖いから出れないのだろう。

いつか恐れずに出れる日がくることを願いながら、今日も1人部屋の隅で月を眺める

今夜の月は満月みたいだ。

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