第18話「愛情」

互いの愛情がないと綺麗な花は咲かせることは出来ない。1度綺麗な花を咲かせられても、ずっと咲かせ続けられる訳でもない。

人の心ってすぐに移ろうから、長くきれいな花を咲かせられるにはそれなりの犠牲も必要だし、誰かと花を咲かせて、そのまま黄泉の国まで棺に入れて持っていくことは容易くできることでは無い。

永遠の花を咲かせるには、それだけの愛情が必要なの


愛情ってなんだっけ、誰かを愛するってどんな感情だった?自問自答してもほわほわした思考の中で答えが出るわけがなかった。

「一緒に花を咲かせたい」と言ってくれてる人がいるなんて滅多に無いし、うさぎも大きな犬も小熊も自分のことを大切に思ってくれてることは十分な程に伝ってくるから良い返事をするべきなのではないか。好きな人も居ないし。時と共に愛情は芽生えて育っていくと思うし返事をしてこの部屋から出るべきではないのか。

でも同時に私の中の私が「また繰り返すだけ」「互いの愛情がない所に花は咲かないよ」「まだ準備が出来ていないのにこの部屋を出て、今度こそ冬が来た時耐えられないよ」「なによりその方法は君の信条に反するのでは無いのかい?」と忠告をしてくる。

アマリリスの彼女にどうするべきなのか聞いて意見を貰っても、答えは出なかった。

愛情って何なのだろう。

どんな感情なのか忘れてしまった。

愛情探しの旅に出てみるのもいいのかもしれない。

もう少し体が良くなったら、旅に出よう。

そんな事を考えながら眠りについた。


目が覚めると、久しぶりにだるさも吐き気もどこかに消えてくれていた。

スイートピーの花の他に、1輪、花が咲いた。

咲いた花を持って大きな犬が待っていてくれているところに私は向かった。

「ごめんね。ありがとう。」

そう言って私はアイリスの花を手渡した。

「ありがとう。」

果てしない優しさをもった大きな犬だった



一人の人に依存してしまうのが怖い

好きになってしまうのも怖い

ばいばいって言われた時がこわい

いつか言われるんじゃないかって考えてる時間もこわい

恋愛って楽しいことだらけなはずなのにそうじゃないのがこわい

約束して、それがなくなっちゃった時が怖い

外に出て冬が来るのが怖いの

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