第5話 「もうひとつの物語」
「私ね、20歳までに彼氏が出来なかったらもう恋愛は諦めるの。結婚もしたくない、1人で養子縁組組めるだけのお金を稼いで、40歳の時に養子をお迎えするの。それで50歳になったら小さな助産院を開いてね、子育てに悩んで疲れちゃったお母さんとか、二次性徴に困ってる思春期の子供たちの拠り所になれるような場所を作るんだ」
「俺は、大学時代に付き合った人と結婚がしたい。彼女作って、長く付き合った人と卒業したら結婚して、幸せな家庭を築きたい。」
「そっか笑私たち真反対の未来を描いてるんだね笑」
付き合う前は真反対の物語を互いに描いていた。
付き合ってから、私の物語は徐々に彼の描く物語と同化していった。
自分の本当の気持ちに気がつくのは、別れ際の時だった。
「私は…あなたとずっとずっと一緒にいて時間を共有したかった、住んでいる場所が離れていても、その分時間って共有できるよ…?それでも、辛い?」
「会えないのが辛いの、ほかの女の子に目移りしそうで」
「そっか…いつかまた、遠距離じゃなくなった時に、もう一度好きって言わせてほしい。」
「もちろん、まってるよ。」
私の未来の物語は、もうひとつこの世に生を受けた。
失われたもうひとつの物語を読み進める日は果たしてまた訪れてくれるのだろうか。
どうか神様お願いです
私がどちらの道を選びたいのか、お解りのはずです
変わってみせるから、2年半頑張るから
もう一度、もうひとつの物語を読み進めるチャンスを下さい
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