第4話 「薄暗がりの中で」

ああ、やっぱりね。


夕方、薄暗がりの中で、私はスマホの明かりに照らされながら一筋の涙を流した。


画面に表示されたのは、「もう好きじゃなくなった、友達に戻りたい」というメッセージ

大好きな彼からだった。


遠距離で付き合い初めて、半年と少し。

冬には彼の地元に行って、クリスマスと彼の誕生日を迎えるはずだった。

彼のためにプレゼントは何がいいのか考えてた日々。

初めて好きな人と過ごせるクリスマスが来ると、とっても楽しみにしていた。

10月、肌寒い季節になってから、彼の様子がどこかおかしくなった。いや、おかしくなってしまったのは彼からしたら私の方だろう。

そこからだ、私と彼とがすれ違い始めたのは。

いつかこんなことを言われてしまう日が来るのでは無いのかと思っていたけれど、まさかこんなに早く現実になるとは思わなかった。


「心の距離と離れている距離は違うと思ってた、でも紙一重なんだね…」


ふと笑いながら口に出すと、閉じ込めていた感情が外に流れ出した。

暗い部屋に閉じこもったまま子供みたいに泣きじゃくる私を、月明かりが優しく照らしていた。

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