第9話
司法試験の結果が出た。今回は二人とも受かった。
さあ、どうしよう・・・二人は顔を見合わせて笑った。
翔と父親、達也で話し合いをした。
翔は父親に自分の気持ちと達也のことを話した。父は達也が安祐美のことを想っていることを母から聞いて知っていた。
父親はこの二人のどちらかが会社を継ぐということに不満はなかったし、達也と安祐美のことに対しても何も言わなかった。ただ、このように提案した。
「翔、お前が会社を継げ。そして達也くんを顧問弁護士にして一緒にやっていくんだ。どうだ。達也君はどう思う?」
「はい。それが一番いいと思います。」
「それと安祐美のことだが、それは本人同士に任せる。」
「ありがとうございます。僕頑張ります。」
「翔、おまえはどうだ?」
「そうですね、わかりました。それが一番良いです。達也もありがとう。」
翔は二人とも司法試験に受かった時に弁護士をあきらめることを覚悟していたので直ぐに了承した。
「数年は俺もまだ引退しないから側で勉強しろ。達也君も頼むよ。」
達也も父に頭を下げた。
達也は安祐美に対して必死だった。
翔は一緒に旅行に行ったりバーベキューパーティをしたりと2人が一緒に居る機会をお膳立てした。
もともと知った中なので徐々にではあるが距離が縮まっていた。
3人で音羽家の軽井沢の別荘に行った。まだ安祐美の離婚が成立していないので表立ってデートは出来なかったので、軽井沢の別荘は奥まったところにあり気兼ねがいらなかった。
夕食後居間で飲んだ。翔は酔っぱらったふりをして先に休むと言い部屋に戻った。
達也と安祐美は二人になった。達也の気持ちは安祐美には伝わっていた。
ここぞとばかりにり、達也は行動に出た。
「安祐美さん。僕は器用な人間じゃないからストレートに言うね。気付いているとは思うけど、ずっと・・・もう10年前から、ずっと安祐美さんのことが好きです。3歳年上だからとか自分に言い聞かせてきたけど関係ない。安祐美さんが何歳年上だって関係ない。好きです。付き合ってほしい。安祐美さんが嫌がることはしたくないから、今でなくてもいいから返事ください。」
「達也君・・・ありがとう。達也君は子供のころから一緒に遊んで、弟みたいに思っていた。だから正直そういう対象としては見ていなかった。でもね、今は違うの。翔も弟として頼りになるけど、それ以上よ。一緒に居て楽しいし楽だし、なんといって顔を見ると安心する・・・一緒に居たいって思うの。」
「安祐美さん・・・それって・・・」
「うん。」
達也は安祐美にキスをした。
「待って、達也君・・・」
「ダメ?」
「違うの。もう一度確認させて。・・・私3歳年上よ。」
「うん。」
「バツイチになるよ。」
「うん。」
「流産もしてるよ。」
「うん。」
「それでも本当にいいの? 」
「いいよ。何の問題もない。俺は安祐美さんが好きだ。絶対幸せにする。」
「私も達也君が好き。」
もう一度達也は安祐美にキスをした。安祐美もそれに応えた。
この日二人は結ばれた。二人だけの秘密として・・・
翔の計画は成功した。
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