第7話
翔は姉貴にどう報告するか悩んだ。
報告すればまた姉貴は気が気がふれたように荒れるだろう。その時の為に先にできることはないか考えた。
「なあ達也、お前今彼女いないよな。」
「わかっていること聞くなよ。司法試験受かるまではお互い彼女作るのやめようって約束しただろ。翔、もしかしてお前彼女出来たとか?」
「ちがうよ。」
「だよな。変なこと聞くなよ。」
「そうだよな・・・ところでさ、お前いつまで司法試験受けるの? 」
「俺もさ、お前に相談しようと思っていたんだ。俺は今回が最後かと思っている。」
「俺もだ。最近決心した。実は賭けをしようと思っている。」
「どういうこと?」
「司法試験に受かったら弁護士になる。でも今回落ちたら父の会社を継ごうと思う。」
「親父さんに話したの?」
「してないよ。ずるい話だと思っている。だけど、あいつに初めてあった時から父親の会社渡したくないと思った。今回の件でなおさらだ。弁護士への夢もここまで努力してきたから今回に賭ける。そしてもし受かれば信用のおける人間に父の会社を継いでもらうように俺は動く。」
「翔の気持ちはわかった。俺もさ、ダメだったら優秀なパラリーガル目指すよ。」
「なあ、達也・・・聞いていいか。」
「なんだよ、もったいぶんなよ。」
「お前さ、昔姉貴のこと好きだったよな。今はどうなの? 」
「好きさ。高校のころからずっと好きだ。正直誰と付き合ってもダメだったのはそのせいだ。安祐美さんは3つ上だし、相手にされないだろうと決めつけていた。それでも結婚しちゃったときは正直荒れたよ。とんでもないハイスペックな男が相手だったから、仕方ないからあきらめようとも思った。でも今回お前からこんな話聞いて、俺は腹が立っている。好きだよ。あー好きだよ。」
「達也・・・俺の姉貴貰ってくれよ。」
「えっ? 」
「助けてやってくれ。」
「翔・・・」
「今回のことを話せば姉貴はまた落ち込んで立ち上がれないと思う。弱っているところに漬けこむような形にはなってしまうかもしれないが、助けが必要だと思うんだ。俺は姉貴に幸せになって欲しい。信用できるやつに任せたい。それにもしだよ、俺が司法試験に受かりお前がもし落ちたら父親の会社継いでくれないか。姉貴と結婚すれば有だろ。お前のところは兄ちゃんが既に弁護士だから事務所は兄ちゃんに任せてさ。どうだ。」
「親父さんはそれでいいのかな。俺は安祐美さんと結婚できるなら何でもする。」
「親父は俺が説得する。親父は姉貴をかわいがっているし、お前のことも悪く思っていないから大丈夫だと思う。」
「なんだか大変なことになったな。でも、まずは俺が安祐美さんに好きになってもらわないといけないな。それが大問題だよ。」
「俺がお膳立てするさ。任せておけよ。」
「本当か?」
「ああ、時間かかるかもしれないけど頑張ろうぜ。」
「なあ・・・今の話だとさ、俺は司法試験に落ちれば安祐美さんと結婚できるかもしれないということだよな・・・でも、俺もちゃんと司法試験に挑戦したいし・・・ねえ、二人とも受かったり二人とも落ちたらどうすんの?」
「・・・どうしようか・・・」
「お前・・・いい加減だな。」
「その時決めよ。」
「・・・ったく! そうだな。ここまで来たんだ。しっかり司法試験は受けようぜ。結果次第だ。それより僕は安祐美さんに気にいられないと・・・」
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