第11話

日葵side

なんだか心地が良く辺りには紫陽花が咲いている。そして私の周りにはいくつかのシャボン玉があった。私は無意識にシャボン玉に触れた。すると今までのことが全て映像として蘇った。な、なにこれ……?それにこの男の子……。

あ……と気づいたときには涙がとめどなく溢れた。

紫陽花が咲いている道をまっすぐ駆け抜けると次はブルースターが咲くの道に出た。またシャボン玉が出てきて触ると男の子が私と会話してる映像がでてきた。そしてブルースターの花びらが宙に舞って男の子が現れる。

「日葵。」

とその男の子は私の名前を呼んだ。

「翔平くん……!」

と私が抱きつくと翔平くんは

「日葵。僕はもうこれから日葵と一緒にいることができへん。だから日葵はこれから笑って生きて。それが僕の最後の願いや……」

と言い翔平くんが私にチグリジアの花を差し出し受け取ると

私はチグリジアの花言葉を思い出した。











花言葉は私を愛して














そしてもう1つ意味がある。












私を助けて






























翔side

ひーちゃんが目を開いたのはひーちゃんが意識を失ってから1週間後だった。結局ひーちゃんの両親は来なかった。

「ん……」

「ひーちゃん!紫苑!!起きて!ひーちゃんが目を覚ました!!」

「……へ?ひ、日葵ちゃん!!」

「かーくん、紫苑ちゃん……。おはよぉ。」

ひーちゃんはゆったりとした口調で言った。

「え?私のこと分かるの!?」

と紫苑は目を見開いて驚いた。どうやら日葵の記憶障害は治ったらしい。紫苑は涙ながら

「よかった……!!」

とひーちゃんのことを抱きしめていて、ひーちゃんも紫苑のことを抱きしめていた。問題は冨樫だ……。冨樫はまだ意識不明で生死を彷徨っているらしい。

「かーくん。翔平くんに会いたい……。」

俺と紫苑は目線を合わす。そして紫苑は気まずそうに

「翔平はこの病院内にいるよ……。だけど……」

「事故に遭って意識不明なんだよね?」

とひーちゃんは言った。ひーちゃんは

「夢だったけどね、翔平くんが助けてって言ってたの。だから私を翔平くんのいるところまで案内して。」

今までひーちゃんを見てきた俺だが、まっすぐで真剣なひーちゃんは初めてみた。俺はひーちゃんを車椅子に乗せて

「いいよ。連れてってあげる。」

と言いひーちゃんを冨樫がいる部屋に案内する。ドアをノックし、冨樫の父が出た。

「日葵ちゃん!?目を覚ましたんだね!よかった!」

と喜んでいたが、すぐに表情が曇り、

「翔平が目を覚まさないんだ……。」

と言い冨樫の母も出てきた。ひーちゃんは

「翔平くんの近くまで車椅子を押して。」

と言い俺は車椅子を押した。

そして管にたくさん繋がれ酸素マスクをつけている冨樫の姿がある。ひーちゃんは冨樫の手を握り 

「大丈夫。どんなときも私がいる。明日の翔平くんも私が彩りを与えてあげる。」

と涙を流しながら言った。すると

「……日葵……」

「翔平くん!?」

なんと冨樫が目を覚ました。日葵は涙ながら

「もう会えないと思った……!!」

と涙ながら言った。翔平は

「ごめんね……もう1人にさせへんで……」

と言いひーちゃんの頭を撫でた。












翔平side


あれから7年が経ち僕と日葵は結婚して夫婦になった。そして

「びえーん!!」

「よしよし。あともうちょっとで1人できたのにねー」

「ほーら、星夜せいや。パパだぞー!」

可愛い男の子授かった。僕と日葵は目が合い笑いあった。

アルバムには僕と日葵が出会った日々の思い出がたくさんあり、壁には2人で描いた絵がたくさんある。色褪せることなく日々を刻んでいく。僕の願いは1つ。ただ隣にいて笑っていて。きっと君との出会いが僕を変えた。

言葉でも伝えられないくらいの愛してるを君へ。













机の上に飾った2輪のまだ蕾のクリスマスローズが風に揺られてまるでこれからの僕たちのように見えた。














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クリスマスローズが咲く前に 明智 依毬 @moonlight52

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