第9話

紫苑side

あの夏祭りの日私は翔平と日葵ちゃんの仲のいい姿を見て私は翔平から身を引こうほう思えた。悔しいというより日葵ちゃんが相手でよかったってそう思えた。私は翔平とは高校からの付き合いで私がいじめられてたときに助けてくれたのが翔平だった。だから翔平に依存していたかもしれない。だけど翔に出会って私はそのたった1日で恋に落ちてしまった。私は翔が好きなことに気づいた。あの優しさに私は縋ってしまいたいという気持ちもあった。それに夏祭りの後、翔の陸上をしている姿を見て一生懸命に走っている翔がなによりも私の目に焼き付いた。それに日葵ちゃんも私が翔のことを好きだということをなんとなく気づいているからか色々と翔について教えてくれる。私と日葵ちゃんは恋バナをする仲になっていた。そして日葵ちゃんが1年前事故に遭い記憶障害になったことも……。だけど日葵ちゃんが日葵ちゃんであるのは変わらない。私は日葵ちゃんとの交流を深めていった。まだ言葉には出来ないけどいつかは伝えるつもり……そんな想いでいた。



季節は巡りだんだんと秋が終わりに近づいてきて冷え込む時期になった。私は翔を連れて翔平の花屋に向かった。今日は日葵ちゃんが翔平とデートをするらしくて、日葵ちゃんは記憶保てないはずなのに、日記を見る度翔平のことが気になって翔平の誘いには必ず行っていると翔は話した。翔は日葵ちゃんの話をする度すごく笑顔になる。私は

「その笑顔を私に向けてほしい」

とばかり考えてしまう。だけど翔は最近よく私のことを見てくれるようになった。だから少しばかり期待してしまう自分がいた。

翔と私は翔平の家の花屋に着いた。すると店が臨時休業となっていた。

「あちゃー残念。」

「こんなこともあるよなぁ。」

と2人で笑って残念がった。そして少しばかりか雪が降ってきた。私たちは近くのカフェに移動し、翔はコーヒー、私はカフェラテを頼む。店内も暖かくてほのぼのしていると翔のスマホが鳴り、翔は切ろうとするが私はおかまいなくというポーズを取り翔に電話するよう勧める。翔は申し訳ないと顔で訴え電話にでる。すると翔は驚いた表情で電話を切る。

「どうしたの?なにかあった?」

と私は尋ねる。すると翔は

「冨樫が待ち合わせになっても来ないらしい。いつも冨樫のほうがはやいのにって。連絡入れても返事が返ってこないって。」

「まさか翔平寝坊してる?」

「あいつ〜女の子を待たせやがって」

と2人で冗談を言い合っていた。すると私からも電話が入った。その主は桃菜だった。私と桃菜は高校生からの付き合いでいじめられてた私を翔平と桃菜で助けてくれたのだった。翔は電話にでなと合図をくれて私も電話に出る。桃菜は泣きながら私になにかを言っていた。なにを言っているのかわからず一生懸命聞くとはっきり聞こえたのは









「翔平が事故に遭って……意識不明だって……」

私は耳がキーンとなり、呆然としてしまった。






窓ガラス越しに見えた雪が泣いているように見えたのは気のせいだろうか。

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