第3話

次の日僕は練習がオフで散歩の準備をしていた。僕は色々な風景を見ることが好きでよく散歩してはスマホで写真を撮ったりする。今日は久々に天気も良く少し涼しい。ちなみに僕の家は花屋を経営している。朝目覚めるときは陽の光でもなく、お母さんが花に水を与えるシャワーの音で目覚める。父は花の手入れや仕入れをしている。僕は花があまり好きではないが、花は自分のストレスや感情を吸い取ってくれる。喜べば花は綺麗に咲くし、悲しめば、花は枯れる。

僕は今いる2階の部屋から降りるとそこには

日葵がいた。

「え!日葵!?なんでここにいるの!?」

と僕は驚いた。すると彼女は少しキョトンとしてそれから

「あぁ!翔平くんか!おはよう!」

と日葵の可愛い笑顔が僕の心臓に突き刺さった。まぶしすぎる……。

「今日からここで日葵ちゃんがバイトしてくれるの。」

と僕の母さんは言った。

「日葵ちゃんがいてくれると助かるけんな。なあ、花梨かりん。」

「そうね。ゆーくん。」

花梨は僕の母の名前だ。そしてゆーくんこと僕の父の名前は裕太ゆうただ。2人はとても温厚な人だが、母はテニスで全国優勝、父は関西出身で、空手で黒帯といったいわゆるアスリート一家だ。

そんな両親は実は頭も良く、母は植物博士と呼ばれ、母が知らない植物はないというくらいで、父は社会系全般が得意で、経営に向いている2人だなと思う。

今まではこの花屋ディアレストを2人で経営していたが、新しく人を雇いたいと思い、枠はわずか3人といった中で応募し、合格したその1人が日葵だという。

他の2人もゾロゾロと来た。

「おはようございます!よろしくお願いします!」

「おはようございますーるめいか!あ、よいっしょ♪」

と2人の男の人が店のエプロンを着てそれぞれの持ち場にいた。

さっきギャグをかましていた人のネームプレートを見ると

大倉 琉輝おおくら るきと書いてある。

大倉さんは少し髪の毛が長く、茶髪で多分なにかしらのスポーツをしていて、筋肉もあるし、男らしい手をしている。しかし花に向けた目は先程と違い、ものすごく優しかった。

もう1人のネームプレートを見ると

林海都はやし みとと書いてある。

林さんは背が高く、スタイルがとてもいい。どこかのアイドルかっていうくらいカッコイイ。これはもしや父が顔受けで人をたくさん集めようとしてるのではと父を見ると父はマッスルポーズをした。

これは当たりだ……。僕は苦笑いをした。

両親は日葵のなにを気に入って雇ったのか……?もしや可愛いから……!?でも父を見るとそんな感じではなさそう。僕は日葵に声をかけた。

「ねぇ、日葵。」

と僕が声をかけると不思議そうに僕の方に振り向き僕を見つめる。

「日葵はなんでここの店のアルバイトに応募したん?」

と聞くと日葵は

「私花が好きなの。将来花に囲まれた生活がしたくて……」

と照れながら話す日葵はとても可愛いかった。僕は日葵にクイズを出した。

「日葵!この花の名前と花言葉は?」

と水色の花を持つ。すると日葵は

「ブルースター。花言葉は信じ合う心。」

と即答で答えた。僕は他にも色々問題を出し、気づけば開店時間になった。

僕は店内の様子を見ていた。そんなときふと思ったのがスケッチだった。

僕はそこら辺にある紙をレジから拝借し、日葵の姿をスケッチしていた。

すると横から

「冨樫さん、めっちゃ絵上手いですね!」

と横から大倉さんが言った。

「そんなことないよ。だけど彼女は絵になるなぁ……。」

と僕がそう呟くと大倉さんは僕を見てニヤリと笑い

「冨樫さん、杉浦さんのこと好きなんでしょ?」

とからかってきたが、まさにその通りで僕は赤面し、なにも言えなかった。

すると日葵はなにかに気づき僕の所までトコトコ来た。

日葵は

「ねぇねぇ。なんでここにはクリスマスローズが置いてあるの?」

と不思議に思っていた。

「僕の親戚も花屋で実は海外に住んでいて、年中でクリスマスローズを取り寄せているんだよ。」

と僕は答えた。そう僕の親戚も花屋でしかもかなり規模は大きい。それで季候関係なく花もたくさん売っている。

「クリスマスローズの花言葉って……なんだっけ?」

と日葵は無邪気に言う。

「クリスマスローズは私の不安を和らげてって言う言葉の意味もあるし……」

と僕がもう1つの意味を言うと日葵は僕の言葉を遮って

「私にぴったりな花だ。」

と言った。

「なにか不安なことでもあるの?」

と僕は答えた。好きな人の不安は取り除いてあげたい。

すると日葵は

「私ね、記憶喪失なんだ……。数ヶ月前から……。それと新しい記憶を保持するが出来ないの……」

と悲しく微笑んだ。

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