第2話
あの女の子だ……!
僕は誰の目も気にせずその女の子の元へ駆け寄った。
「あの……!この前の雨の日はありがとうございます!」
と僕はあの日僕を助けてくれた女の子の手を握り興奮気味に喋った。
しかしそこで僕はハッと気づいた。いきなりこんなに興奮気味で喋り、手を握るだなんて怖がらせちゃうよな……。僕は冷静さを取り戻し、手を離した。
「……あ!あの男の子か!」
と女の子は明るく答えてくれた。少し間が空いたが、なにかを思い出したみたいにすぐパァと明るく笑顔になった。か、可愛い……。僕はニヤケた口元を手で隠した。
「僕、冨樫翔平。きみはなんて名前なん?」
と僕が言うと
「
杉浦日葵か……なんだか心がくすぐったい……。僕は温かい気持ちになった。
「日葵って呼んでええ?」
と僕が言うと彼女は頷いた。僕が彼女の顔を見ると少し頬を赤らめている。
陽葵は少し重めの前髪に、髪の長いストレートロングで、目がくりっとしていて、唇の血色がいい……というかなんちゅうところ見てんねん!僕は……!
風が吹いて日葵の髪の毛が揺れ、日葵の髪の毛だろうか、いい匂いがした。
まるで時間が止まったようにお互いを見つめていた。
「あ……あの私……。」
「日葵!!」
と日葵がなにか言おうとしたとき他のところから日葵を呼ぶ男がいた。日葵がその人のほうに振り向くと汗を流してこちらに駆けつけてくる男の人がいた。その男の人の服装から見ると陸上部ぽくて、髪の毛は紫外線からのせいか少し傷んでいて、茶髪のところが多い。しかし顔は女子ウケが良さそうな可愛い顔をしていて、どちらかというと少し犬ぽく見えた。
「日葵!なにしてるの!ほら!行くよ!」
とその男の人は日葵の腕を掴む。僕はその男の人の腕を掴んだ。日葵はこちらを見た。
「あなたは誰ですか?」
と僕はその男の人に尋ねた。すると男の人は今自分がなにをしているかを冷静さを取り戻し、反省したかのように少しシュンとなって
口を開いた。
「俺は
「そかそか。あ、僕は冨樫翔平っていうけん。」
「よろしく。」
と榊は言った。すると横から日葵が
「かーくん!ほんとに過保護なんだから……。」
「ごめんね。ひーちゃん。」
と2人は兄弟のように会話をしていた。
僕は榊が羨ましい、そう思った。
すると日葵が
「あ!えっと、冨樫くんはあの雨の日私が助けた男の子だったんだって!」
と日葵が言うと榊がものすごく驚いた顔をしていて、そのあと日葵を優しい目で見つめ、頭を撫でながら
「そうなんや。それはひーちゃんいいことしたなぁ。」
と言った。日葵は明るく笑顔で頷く。
だけど榊があんなに驚いていて、僕はどこかで引っかかった。だけどまぁ気のせいだろうと思いそのことには触れなかった。
「あ、私今日バイトの面接だ!」
と日葵は勢いよくそう言うと
「じゃあまたね!かーくん!行くよ〜」
「だな。またな冨樫。」
と2人は言うと颯爽とその場から離れた。
やった……。話せた……。
ん?ちょっと待って。日葵の名前は知れたけどまだどこの大学かとか連絡先聞いてへん!
僕は重要なことに気づいた。
僕は落ち込み、今までの様子を見ていた傑が僕に向かって
「お前、大事なこと聞かないでどうするねん。」
と正確なツッコミをした。
僕の失態を道に咲いていたクチナシの花が優しい香りで癒した。
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