第1話

「よっしゃー!」

僕のシャトルが相手のコートに落ちた時僕の勝ちが決まった。

翔平しょうへいは本当に強いなぁ」

「いやいや。まだまだだよ。これからも強くなれるよう頑張らんないけん。」

僕は冨樫 翔平とがし しょうへい。大学生でバドミントンをやっている。どこにでいるような男だが、これでも一応個人で県で優勝した男だ。僕はあの日からまた強くなれた。それもあの女の子のおかげ……

僕が強くなったら絶対あの女の子に探してもらえるようにテレビに出るんだ。テレビに出てあの時のお礼を言いたいと思っている。

「で、あの女の子見つけたのかよ?」

伊藤 傑いとう すぐるは俺と時々ペアを組んだりする。ちなみに傑も個人で県大会を優勝した男だ。ちなみに俊は関東出身だが、時々関西弁を使う。たまにごちゃごちゃになって僕は吹き出すことがある。

さっきまで相手だった傑がポカリを飲みながら俺に質問する。

正直なにも手掛かりがないからかなり難しい。名前さえ知らない。あの場所でもう一度会えたらな……と俺はボーッとしていた。

すると傑は

「よっし!俺が負けたからアイス奢るで〜」

と傑は陽気になり俺をサッカー部のグラウンド近くにあるアイス自販機に連れていった。

梅雨はじめじめするし、雨もよく降るし、暑いから嫌いだ。セミも近頃泣き出して、もう少しで梅雨が明ける。だけどあの日あの子と出逢えたから僕は梅雨が少し好きだ。

「翔平。お前なに食べたいん?」

僕は即答で

「クッキークリーム」

と答えた。俊が自販機のボタンを押すとガタンと音が鳴り僕は手口からアイスを取り出す。

「サンキュー、傑。」

と礼を言い近くにあるベンチに腰掛け、アイスのフィルムを剥がし、1口アイスを頬張るとバニラとクッキーの合わさった感触と味が広がり、幸せな気持ちになる。

隣で傑もクッキークリームのアイスを食べる。

すると傑が口を開き

「なぁ。あのサッカー部のマネージャーめっちゃ可愛くね?」

と言った。傑はドがつく女好きだ。しかし嫌な女好きではないので安心する。僕もなぜかモテるので傑から色々と女の子の噂や人柄を聞く。傑に聞くと秒でコメントが返ってくるから情報屋っていうかなんだろ、すごいなと思う。

傑がサッカー部のマネージャーのことをベラベラ喋っていて僕は右から左に流す。

クッキークリームのアイスも残り1口になり、僕は食べようとした。




傑が




「あの女の子見たことあらへんな〜。なぁ」




と言い僕はクッキークリームのアイスからその女の子に目を向けると








「見つけた……!」





僕は手からアイスを落とした。







そこには僕が探していた女の子がいた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る