クリスマスローズが咲く前に

明智 依毬

プロローグ

6月の雨の日


僕は絶望していた。










1人で俯きながら歩く。






もう終わりにしよう。





僕は紫陽花が並んで咲いている線路を渡り、真ん中で立ち続ける。





そんな僕に傘を差し出す女の子がいた。



女の子は僕を線路の外れまで連れていくとなにも言わず傘を置き





ただ抱きしめ、僕の冷え切った手を女の子が包みこんだ。

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