第29話

★フレイ

「『顕現解放』」

感じたこともない強力な圧力を感じながら衝撃波で後ろに吹き飛ばされた。

「何だってんだあれは」

観たことも感じたこともない力だった。あれほどの力をまだ隠し持っていたのか。だが、あの傷だ、それほど長くは戦えないだろうそう高を括り立ち上がり会長の方を見ると驚愕してしまった。


「俺じゃあ勝てない」

思わずつぶやいてしまった。それほどにあいつは強力な存在になっていた。俺と同じように鎧を身に着けていた。俺はフェニックスの魔力を纏うことでこの力を扱っているが会長はあの顕現武器を身に宿すことであの鎧を纏っているのだろう。俺とアイツでは力の純度が違いすぎる。

「おいおい、戦いは!これからだろう」

俺は負けるとわかっていたがやるしか道はないと考え立ち上がろうとした。だが、立つことは叶わなかった。

「もう十分だよフレイ。あとは僕に任せて」

そう言って俺を観客席に投げ飛ばした。それはツカサだった。


★ツカサ

強大な力を感じた。フレイと戦っている会長から発せられたものだ。あの力でフレイを攻撃したら壊されてしまうだろう。だけど、あれはフレイの戦いだ。僕は見守るしかできないのかと考えた。だが、このまま大切な家族を見捨てるのが家族のやることだろうか。それにこの決闘は僕とフレイが生徒会の二人を倒すことだ。それだったら僕が会長と戦っても問題はないだろう。そうとわかれば僕はフレイが覚悟が決まる前に行かなくちゃ。


「もう十分だよフレイ。あとは僕に任せて」

僕は立とうとするフレイを止めここにいたら流れ弾が当たると思い観客席にフレイを投げた。

「おいおい、神聖な決闘に割り込みは良くないぞ」

会長はフレイをいたぶりたい様子だった。会長の実力を見ると今までこれほどの屈辱を味わったことがないのだろう。格下だと思っていたフレイにここまで本気にやらないと勝てないとわかったのだから。

「フレイはもう戦えない。なら僕が会長と戦っても問題ないですよね」

「へ~。俺とやりたいんだ。じゃあ、このままやろうか。俺は君で我慢するよ」

そう言った会長は僕に向かって殴りかかってきた。会長はフレイと戦っていた時の10倍の速度は出ているだろう。だが、僕にはそんなことは関係ない。なぜなら


「返してもらうよフレイ!『ブースト』」

ブーストそれは僕が開発した業だ。だが、これは欠点が一つある。使用できるのはこの世で一人のみということだ。僕はそれが判明したら、フレイに貸すことにした。現在の使用者は僕だから、人に貸すのも僕の自由だった。フレイとは出来るだけ力の差をなくしたいと考えたためだ。昔はフレイの方が強かった、だが修行したこの年に僕は気が付いたらフレイよりも強くなっていた。僕たちは力関係が逆転しても変わらず仲が良かった。変わらない友情を願いこのブーストをフレイに貸したんだ。だが、あいつと戦う上でこの力は必要なものだ。だから、返してもらった。


「お帰り。ブースト」

のんきに僕はブーストに話しかけていられるのは僕が加速空間にいるからだ。この空間に干渉が出来る者は限られている。この場で干渉出来るのは僕だけだろう。それゆえに会長の攻撃は僕にとってはただ遅い攻撃なだけだ。だが、一つ驚くことがある。この空間でただ遅いだけというのはとんでもなく早いということだ。通常の人間がこの空間で移動することは出来ない。それだけこの空間は僕を加速させている。だが、会長は普通に移動して攻撃をしている。遅いけど。


「何もしなかったら僕の負けだったな。はっ」

そう言って僕は会長を殴った。そうすると一撃も攻撃を与えられないのにこちらの攻撃は当たることに驚愕していた。

「何も驚かなくてもいいでしょう。戦いはこれからなんでしょ」

僕は会長にそう尋ねると不気味なほどに笑顔になっていた。

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