第27話

★フレイ

「これが俺の武器『ブースト』だ。会長、今度は俺の番だ。あんたは俺のスピードについてこれるかな?」

「ぬかせ、1年坊主が!」

自分の領域であるスピードを犯した俺に猫をかぶるのをやめた会長は怒りの表情でスピードを上げて攻撃を始めてきた。


「『速度上昇ブースト』」

武器のブーストに加速の呪文をとなることで俺はさらに加速をした。会長と同等の速度を抱いていては有利に戦えない。会長は俺よりも経験が豊富だろう。そんな相手と真っ向から戦う必要はない。自分の有利な状況にもっていき戦う。それが俺の戦い方だ。


★会長

「くそったれが!俺よりも速く動けるだと」

俺はあまりのスピードに驚き対処を打てずにいた。このままでは傷をむやみに増やす一方だ。何とかしなければ。

「『唸れ雷切』」

地面に雷切を突き刺す。それがこの技の発動条件だ。この技は雷切を突き刺した場所を中心に雷を無差別に放つ技だ。こんなものでは奴をとらえることは出来やしないだろう。

「今更、そんなあくびしててもよけれるぜ!」

俺の想像通りあいつはすべてよけていた。だが、俺がお前が食らわない攻撃をむやみに放つと思うか?それが想像できないお前は経験が足りないからこうなるんだよ。

「頃合いか」

「な、なんだこれ」

急にあいつはスピードが遅くなった。それもそのはずだろう。俺の放った技は人を対象に使うものではない。地面を変化させる業だ。これで何が変化したのかというと地面には電気が帯びた。そして、この電気は直接的に人に攻撃はしない。派手に電撃の攻撃を放ったように見えるがこれはおとり。本命は雷切を中心にこの闘技場のフィールド全体に電気をしみこませることだった。これによっておこる事象は電気を浴びたものの速度低下ただそれだけだ。俺のスピードはとらえることが難しいほどのスピードを持っていると自負している。だが、俺よりも速いものが出た時の対処法を考えていないと思ったか?そんなわけないだろう。俺が会長になれたのもこの臨機応変に戦うことことが出来たからだ。


 俺は驚きの表情で固まっているあいつに向かって次の攻撃の構えを取った。

「『電光石火の一撃!無限に加速する増殖の一撃!喰らえ雷切』」

俺はその場から動かずに雷切を振った。周りから見ればあたりもしない場所から無意味に武器を振るった愚か者に見えるだろう。だが、これは違う。雷切の最大の特徴は雷を操れることだ。これは雷の魔力を使える俺にとって有利なものとなるからこの武器を使っている。この雷切が扱える雷は自身から発した雷しか扱えないというデメリットも存在する。この雷切を経由した雷なら何でも操作できることから必ずしもデメリットということではない。今回のようにだ。今回はあいつに蓄積している雷を利用した。スピードが速い相手には減速させる業を使用し、雷を体内に蓄積させる。それを利用し、周りに存在する雷を対象者に向かって収束させる。それが『電光石火の一撃!』だ。『無限に加速する増殖の一撃!』は、収束して集まっている雷を増幅させるものざだ。そして『喰らえ雷切』の呪文で体内に増幅された雷を起爆させる。それで普通のものは終わりだ。外部からの攻撃を防ぐ方法を持つものは数えきれないほど多くいる。(逆に持たない方が珍しいくらいに)だが、体内を守る呪文や技を持つものは数えきれるほどの数しか存在しない。不思議なことに。これを利用したのがこの技だ。内部からの攻撃を想定していないがゆえにねらい目。それが俺の導びき出した勝利の方程式だ。


 あいつを見てみろ。鎧の隙間から煙を吐き出している。これを見るにもう限界だってか。

「やはり、俺の方が一枚上手だったようだな」

「ね…しか…き」

「うん?何か言ったか」

小さな声で何かをつぶやてることを俺の耳が拾った。あいつはまだ気絶していないということだ。耐久面では俺以上に図太いと見える。だが、これだけの攻撃を受けたんだ。俺の勝ちは決まったようなものだ。

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