第26話
★フレイ
俺は新しく手に入れたとっておきを使った。それはフェニックスと俺を一体化して一つの体に変化させる魔法だ。それは、ベースと素材を一つにする魔法だ。俺の場合ベースは自分で素材はフェニックスだ。素材が強ければ強いほど強い体を形成でき、ベースがいいほど魔力が上昇する。それゆえに俺はフェニックスを限界まで強くした。だが、これには欠点が一つある。ベースと素材の強さの差が大きいほど暴走するリスクが存在するということだ。この欠点をなくすために俺は自分を鍛え続けたのだ。その結果、この暴走するリスクを最小限にすることが出来た。
「これはすごいな。私も本気でやらないと負けてしまいそうだ」
俺の姿を見ても会長はあきらめていないようだ。それよりも、俺と戦えることを楽しみにしている節がある。つまり、俺とまともに戦える力を持っているということだろう。
「待ってもらったんだ。会長も準備していいぞ」
「それは優しいこった。顕現魔法は魔法生物以外も出すことが出来ることを知っているか?」
俺は聞いたことがなかった。顕現魔法は聖獣と呼ばれるものを出現させるものとしか知らないからだ。
「その顔は知らないという顔だな。ならお見せしよう。これが私の顕現魔法だ。『顕現せよ雷切』!」
ドォォォォォン‼
その呪文を唱えるととてつもなく大きな音を立てて空から何か振ってきた。そして、会長の手には何か刃物を持っていた。
「これが私の顕現武器『雷切』です。あなたは私のスピードについてこれますか?」
そう言うと会長の体は消えてしまった。それだけでなくドンッと大きな音が鳴った。
俺は闘技場全体に『領域』を発動した。そうしたら俺の後ろにいるのを確認できた。あの一瞬で俺の後方を取られたというのか!
「その様子は見えなかったみたいですね。次は攻撃しますよ」
俺は見ることが出来なかった会長にどうやって攻撃を加えるのかを考えていた。だが、その方法は思いつくはずもなく会長の攻撃が迫ろうとしていた。
ドンッ
音が鳴ると同時に俺は痛みを感じた。俺の体はただの武器程度では傷つけられないほどの強度を持っている。俺が身に纏っている『装甲フェニックス』は魔力を物質に変化させている。それゆえに臨機応変に強度を変化できる。そして、『装甲フェニックス』の下は俺の『再生』の炎で満たしている。それをエネルギー源として『装甲フェニックス』は攻撃と防御を効率よく出来るようにしている。この『再生』の炎によってただの傷はすぐに回復出来るようにしている。だが、会長の攻撃はすぐには回復しなかった。つまり、俺の魔力と同等の力を使えるということだろう。
「これは楽しくなったなぁ」
俺は自然と笑みが出ていた。ピンチになっているにも関わらずだ。俺は楽しくなった。これは副会長と戦って以来だ。あの時以上に勝てる光景が見えなかった。それほどの差があった。だがそれでも俺は勝たないといけない。あのツカサが勝ったのだ。俺もそれに続かないといけないだろう。
「会長次は俺の番だな」
俺は自身の魔力を炎に変換し、『装甲フェニックス』の力を強化し始めた。『装甲フェニックス』は体のところどころから煙が出ていた。これは人体蒸気機関と言ってもおかしくはないだろう。『装甲フェニックス』の両腕の部分が回転を始めた。そして、両手を合わせ、それを地面に突き刺した。そうしたら、両腕で回転していた部分が地面の中に行った。そして、俺はそれを引き抜くように両腕を上げた。
「これが俺の武器だ」
そうして現れた武器は一つの剣だった。
「剣ですか。それで私の速度に対応できますかね」
ドンッ
またしても会長の移動する瞬間に発する音がたった。俺はそれを待っていた。
「何?」
会長は驚きの声を上げていた。それもそのはずだろう。俺は会長の刀と俺の剣がつばぜり合いをしていたからだ。
「私の速度に追いつきますか」
「これが俺の武器『ブースト』だ。会長、今度は俺の番だ。あんたは俺のスピードについてこれるかな?」
「ぬかせ、1年坊主が!」
自信の領域であるスピードを犯した俺に猫をかぶるのをやめた会長は怒りの表情でスピードを上げて攻撃を始めてきた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます