第25話
★フレイ
「これでわかっただろう。俺たちがどれだけ強くなったかが、次は俺と会長が戦うってことでいいよな」
俺はツカサの戦いを見て体がうずいてきた。ツカサが強くなったのは理解していたがあれほど強くなっているとは思わなかった。俺たちは別々に修行をしていた。そして、卒業式の時期に再び生徒会に挑もうと分かれて修行を始めた。そして、数か月で俺の想像を超える強さをツカサは手に入れた。その姿を見せられて体がうずかないはずもない。俺は早く会長と戦いたいと考えていた。
「ふっ。それもそうですね。あれほどの戦いをこの目で見てしまったのです。私も早く戦いたいと思っていたところです」
会長は俺と同じ考えだったのだ。それもそうなるだろう。会長はみた感じ戦いが好きだという雰囲気を感じる。それを考えると俺と会長は似た者同士なのだろう。
「会長さんよぉ。早くやろうぜ」
「ええ、こちらはいつでも大丈夫ですよ」
二人の言葉が合図となり試合は始まった。
「ツカサが初めから全力でやったんだ。俺も様子見はなしでやるぜ」
俺は最初からとっておきを使うことを決めて魔法を使い始めた。
「『顕現せよ!フェニックス』」
フェニックスの登場により周りの温度が上昇していた。
「以前よりも熱が上昇していますね」
会長が言う通りフェニックスが持つ熱量は以前副会長と戦った時よりも上昇していた。
「俺のフェニックスはこれだけじゃないぜ。行くぞ。『フェニックス装甲』!」
俺が魔法を唱えるとフェニックスの熱量が100倍以上に上昇し始めた。その熱に会長は顔を守るように腕で守っているがフレイの表情は変化していなかった。それもそうだろう。フレイの周りの温度は変化していなかったからだ。そして、フェニックスの変化は熱量の上昇だけではない。フェニックスの体は赤熱した金属で体を形成し始めたのだ。この魔法はフェニックスを金属の体に変化する魔法だ。ただそれだけだがこの魔法は攻撃と防御を両立している魔法でもある。その熱量で敵に赤熱した金属を飛ばし徐々に溶かすことが出来る。防御の面では、相手の攻撃魔法を溶かし無効化することも可能なのだ。
「これで終わりじゃないぞ。来いフェニックス」
フェニックスは言葉通りにフレイの体に密着するように近付いてきた。これによってフレイは徐々に体が焼けどし始めていた。それを見た会長は
「おい、それでは自滅するぞ」
会長は少し心配したが、すぐにその考えをやめた。フレイの魔力が上昇し始めていたからだ。フレイのダメージが増えることに比例して魔力が上昇している。
「そうか、これは儀式みたいなものか。これは面白くなるな」
「その通りだ。行くぞ!これが俺のとっておきだ。『変身』」
その魔法によってフレイからとてつもない熱量が発せられた。それは衝撃によって会長に熱がもたらされた。その熱により会長は一瞬で汗だくになっていた。
「これは熱中症で倒すつもりか」
そんな冗談を言うとフレイの体が見えるようになった。今までの熱量が嘘のように周りの温度は戦う前の温度になっていた。
「これはどういうことだ。温度がこんなに急に変化するはずが」
その言葉が言い終わる前に会長はフレイの変化を目の当たりした。
それはまるで副会長のような鎧を身に着けていた。だが、それは鎧よりも機械仕掛けというのにふさわしいものだった。それだけで終わらず魔力が自信よりもはるかに上ということを理解せざるを得ないものに変化していたのだ。
「これはこちらも本気でやらざるを得ませんね」
声から始まるのはツカサと副会長が戦った時よりも激しい戦いだ。それに引き寄せられるように何かが近付いてくるのをこの時は誰も知らなかった。
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