第21話

★フレイ

 俺は今も体作りをしている。記憶を思い出したツカサの研究には追い付いていけなかったからだ。そのことを告げると

「僕のことはいいから、フレイのやるべきことをやってよ」

そう言われてしまった。俺は知らず知らずの内にあいつのことを随分と心配していたんだな。だが、その心配が不要であると言われたからには俺は自分を鍛えることをするつもりだ。ただ、我武者羅に鍛えても意味はない。そういう風に感じていた。それどころか以前より魔力が高まっていることを考えると自身の力と向き合う必要があるのではないかと考えている。だから、俺は更なる力の為に冒険者としての活動を始めた。いろいろな魔物と戦うことで俺の力をどう使うことで有利に戦えるかを応用できるようにするためだ。俺はフレイが何をしようとしているか正直わからないが俺にしかできないことをやるだけだ。


 そうしてツカサが目覚めてから2か月の月日がたった。

この日は祝福を受ける日だ。

「祝福かぁ」

「どうしたのフレイ」

俺が少し気落ちした声でいると心配そうにツカサが声をかけてきた。

「いやな。聖剣が欲しいけどさ、最近の貴族の動きを考えると手に入れるとめんどくさそうだぁって」

最近の貴族は魔王の復活を確定情報として様々な動きがある。あるものは食料をあるものは武器をあるものは冒険者を集めている。その動きが巷では、戦争でも起こそうとしているのではないかと噂されている。そんな中で聖剣なんか手にしてみたら、勇者といて祭り上げられ魔王が復活していることを大々的に発表して、この騒ぎを鎮めるに違いない。だが、これをすることで次の騒ぎが起きることを理解していない馬鹿が少量ではあるがいることが頭の痛いところだ。

「ってことだ」

「それはそうだけど。力を手にしたものの宿命ってことであきらめるしかないよ」

そういうツカサの言葉は確かにと思えるが俺は責任がなく自由に戦いたいだけなんだけどなぁと考えて祝福の時間まで待っていた。


「フレイ、フレイ、起きてよ」

ゆすられながら誰かに声をかけられてる。うるさいなぁと思いなっがら目を開けると祝福の儀式を始めていた。そして、次の番は俺だった。どうやら祝福を受けるときにあるありがたいお話がつまらなく寝ていたようだ。それで俺の番になるとツカサが気を使って起こしてくれたみたいだ。

「フレイ!いないのか」

先生が俺の名前を呼んでいる。

「ツカサ、ありがとな」

そう小さな声で感謝の声を告げて俺は、前に出た。

「呼ばれたら返事をせんか!」

「すんません」

そう言いながら頭を下げながら女神像の前に立った。ただの像だがこの時の像は何か神秘的に感じた。それも懐かしいような感じだ。そう考えていると

「はよう、準備せんか」

その言葉で俺は固まっていたことに気が付き、女神像の前で祈りのポーズに入った。

そこからは教会の聖女が呪文を唱えることによって祝福を与えられる。この時は何も変化を感じない。変化を感じるのは次の日からだという。俺はどんな祝福を与えられたのか楽しみにしながらこの場を去った。

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