第19話

★フレイ

 俺とツカサは研究を始めた。今の自分たちでは弱いと理解したからだ。俺は体を動かし特訓をすることが強くなることの近道だと考えているがツカサはどうやら違うらしい。ツカサは俺が倒れている間に魔力の研究を始めていた。始めた理由を問いただせば

「僕も魔法を使えれば強くなれるでしょ。それに魔力を知ればフレイも今以上に効率のいい魔法が使えるようになって強くなれるよ」

そう言われた。確かに自分の戦い方は余裕がないと感じる。常にぎりぎりの戦いで不測の事態が訪れると魔力が足りなくなりガス欠を起こしてしまう。副会長との戦いでもそうだった。それを自覚させられると俺は何も言えなくなり一人でやるよりも俺も協力してやると早く進むと考えたから協力してやることにした。


 それから一か月

ツカサは魔力の研究をし、得意属性の魔法は消費魔力が少なくて済むということを発見した。そうなると自分たちの得意属性が気になってくる。それゆえに魔法適正診断装置を使うことになった。この装置はどうやらツカサの言う得意属性を調べる装置だったという。なるほどな、古代の人間が一度この発想になり実際に発明したということか。古代の人間は今以上に魔法技術が発達していたという。失ってしまった知識の一つかこれだったのだろう。それを発見したツカサはいずれ大物になるだろう。


そうして、俺とツカサは魔法適正診断装置を使い魔力を調べた。俺は予想通りに聖炎を示す色になった。問題はこれからだったツカサが倒れてしまった。だが、俺は急にこの場が神聖な場になったと錯覚に陥いった。そんなことよりもツカサを早く医務室に連れて行かなければならないと考えなおし、彼を背負い連れて行った。結果としては問題は何もなかったが意識がなかなか戻らなかった。このことに医師も頭を悩ませたが体に問題がないので手の施しようがなく待つことしかできないと告げられた。俺は魔法適正診断装置の場所に行ったが普通の場所だった。ツカサが使用した時に起きた不思議な感覚は何だったのだろうか。きっと俺の勘違いなのだろうと考えなおし、ツカサがいないと研究は進まないため最近出来ていなかったため運動をしようと考えた。それからの一週間はひたすらに体を鍛えた。俺は小さいときにツカサと戦い殴り飛ばされたことがある。あれはおそらくツカサが記憶をなくす前の出来事だろう。このことをなぜか突然思い出した。それからだっただろうか。魔法ばかりに力を入れていた俺が体作りにも力を入れ始めたのは。魔力で身体強化をすれば何とでもなると考えていたが、魔力での強化では限度があるということを理解したのだ。それがなかったら俺は副会長との戦いもあっさりと負けていただろう。俺の聖炎は体作りが第一だ。魔力により体を強化するには体の基礎が大切になるからだ。この基礎がおろそかになると魔力が体を壊してしまう恐れがあるからだ。俺はまだまだ体が出来ていない。そのことを副会長との戦いで十分理解できた。このことをツカサが倒れてから思い出すというのは遅すぎたが今出来ることをしようと考えた。ゆえに俺は自分の体作りを今は第一に考え自分を強くすることだけを意識して行動した。そうして一週間がたち、ツカサは無事に目を覚ました。記憶を思い出して。

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