第18話
★ツカサ
僕は魔法適正診断装置を使用してから一週間もの間寝ていたという。眼が覚めてあらというもの僕はすごく混乱をしていた。僕が忘れていた記憶を思いだしたのだ。それだけならよかったが全く知らない知識も覚えていたのだ。これは急に装置から情報を流し込まれたとしか思えなかった。あの装置、魔法適正診断装置は本来、適正者を探す装置だという。この知識は植え付けられた情報から得たものだ。この適正者というのはフレイのような同じ時間に一人しか存在することが出来ない特別な魔力を持った者のことを言う。だが、その中でも数千年に一人、いや、数万年に一人という確率で生まれるのが一つの魔法にしか使用することが出来ない魔力を持ったものだ。それが僕だったのだ。記憶を思い出した限り僕は古代魔法の身体強化魔法を使っていた。これが僕が唯一使用できる魔法なのだろう。だが、一つ分からないことがある。僕には魔力を体にためることが出来ないから魔法を使用できない。だが、過去を思い出す限り僕は魔力を体にためれていた。これがなぜできなくなっているのかを理解しなければこれからも魔法は使えないだろう。
それからの僕は思い出したことを日記形式に綴った。
「これで完成だ」
これで記憶をまとめることが出来、読みやすくなった。それをじっくりと読んでいくと僕は記憶を忘れる前にフレイと戦っていたみたいだ。その中で僕は不思議な高揚感を得て、なんでもできそうな感覚になっていた。その状態でいると急に意識を失ってしまう。それで日記は終わっていた。その場所の記憶を詳しく思い出そうとするが日記に書かれている高揚感と急に意識が途絶えたということのみが分かった。
「なんだ、これは」
そうだ。僕と戦っていたフレイなら当時のことを覚えているかもしれない。そのことに気が付き僕はフレイに
話を聞きに行った。
「…ってことなんだけど。フレイは何か覚えている?」
「そうか…思い出したのか」
フレイの言葉はなぜか少し暗く思い出さない方が幸せだったのにというような口調であった。
「どういうことフレイ」
そこから僕はフレイの話を聞いた。僕は戦いの最中、急に黒い魔力を放出するようになったこと、人格が急に変わってしまったこと、魔王と名乗る存在の魔力が僕の黒い魔力の正体であったこと。それを聞かされて僕は不思議と納得をしていた。
「なるほどぉ。そういうことか」
なぜか僕は強くなり何者かを倒さないといけないという使命感にとらわれていた。その何者かの正体が魔王だったのだろう。僕の潜在意識がそうさせているのか僕に魔王の魔力が流れる原因となった何者かの意思なのかわからないが僕の目的がはっきりとした瞬間でもある。僕が強くなる目的は魔王を倒すことだ。そのためには自分のことを理解しないといけない。これからの僕の生活は大変になるという予感がしていた。
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