第15話
★フレイ
「ここはどこだ?」
辺りは真っ暗な闇の中というのがふさわしい場所だ。こんなところで俺は何をしているんだ。
俺はさっきまで副会長と戦っていたはずだ。それなのに何でこんなところに?
「それは貴方が負けたからですよ」
不意に声が聞こえてきた。それも若い女性の声のようだった。
「それはどういうことだ!」
「嘆かわしい。記憶がまだはっきりとしていないのか」
先程とは違い老人の男性のような声がした。辺りを見渡すが依然として真っ暗闇な場所で声に主を探すことができない。
「どこだ。姿を表わせ」
「我らは隠れておらぬよ」
「話は私達の姿が見えるようになってからですね」
それだけを言うと声の主共は声を出さなくなった。ここを出る方法はあの声の主を探すのが一番の方法だろう。どうにかして探さなければならない。
「そうだ。魔法だ。なんでこんな簡単なことを考えられなかったんだ。『ライト』うん?どういうことだ」
しかし、魔法は発動しなかった。いや、発動は確かにした。それは使用者である俺が一番良く理解している。だが、一切明るくならないというのはおかしい。だが、ふと気がついたことがある。それは真っ暗闇が正常な状態であるならこの状況は正しいということ。つまり、辺り一面は真っ黒ということだ。だが、そこでも一つ疑問が残る。壁一面が真っ黒な場所でも一切明るくならないものなのか?壁があると予想するならそれを触れて歩けば扉がある場所に行けるということをかんがえついた。
「俺は天才だな。この方法で行こう」
まずは壁を探すとこからだな。だが、異変に気が付いたのはこのときだった。いくら歩いても走っても壁がないのだ。
「ハァハァハァ。どういうことだ。壁がないぞ」
そこで俺はこの空間が魔法で生成された場所だと気が付いた。
「そうか、ここは魔法空間か」
そうと気が付けばこの空間を出るには先程の者たちの言葉がここを出るヒントになるだろうと会話を思い出した。
「記憶?」
そこで一つのことを思い出した。俺は何かを思い出していないということだ。あのときの会話は俺が副会長と戦っていると言ったときだった。つまり、忘れているのはその結末?俺は副会長との戦いを1から思い出した。そして、俺はあっさりと思い出してしまった。
「俺は負けたのか」
俺の声は小さく落ち込んでいるのがわかるような声色だった。その時だった、黒の空間が白の空間になったのは
「ようやく思い出しましたか」
「随分と時間をかけましたね」
その声にはあきれたという態度が伝わるのに十分なものだった。
「思い出したぞ。お前たちも姿を表わせよ」
そういう風に文句をつけるかの如く言うと後ろから異変を感じた。後ろに人の気配がするのだ。それも急にである。魔法によって移動したのならすぐに感知できる。だがそうじゃなかった。不自然な程急に現れたのである。思い切って振り返ってみると多くの人がいた。その中には魔族と呼ばれる人種も混じっている。
「お前たちは何者だ?」
「我々は歴代のフェニックスの使い手だ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます