第11話
★ツカサ
僕はあの戦いで自分に実力が足りないということに嫌というほど理解した。僕の力ではあの鉄壁の守りを破ることができない。ならどうするか?鍛える他ないだろう。だが今はフレイの様子を見に行こう。彼はおそらく魔力を限界まで使ってしまったから3日程寝込んでしまうだろう。本来人間は魔力を枯渇しないように行動する。なぜなら、先程言ったように3日程寝込んでしまうからだ。これが街の外でしてしまったら死ぬ可能性が高い。それゆえに魔力を枯渇して意識を失わないようにする。普通は今回のフレイの場合は魔力が枯渇して、意識が飛んだのか、副会長の一撃で飛んだのか判断が難しいがフレイはフェニックスを顕現していた。そのフェニックスがいなくなっているのをみるに魔力が枯渇していることが分かるということだ。つまり、しばらくは寝たきりになるので安全のためにも学園の医療施設に連れて行こう。
「彼を一人で連れて行くのは大変だろう、僕も手伝おう。」
そう言って声をかけてきたのは副会長だった。
「いえ、僕一人で大丈夫ですので休んでいてください」
副会長はフレイと戦った後だと言うのに手助けもしようとするとはこれは親切心で言っているのは理解できるがまだまだ余裕がありそうな感じを出していた。それをフレイが起きたときに知ったらショックを受けるかもしれないから僕一人で運ぶことにした。
「やっぱ、一人で運ぶのやめとけばよかった」
想像したよりも意識をなくした人間を運ぶというのは重労働だということを知らなかった。たかが、人一人だと思っていたが予想よりも重い。そんなことを言っていても仕方がないので一人でもくもくと運んだ。ようやくフレイを運ぶことができ後のことは先生に任せることにした。
「それでは先生、フレイをよろしくお願いします」
「任せたまえ」
フレイが負けた。それは僕にとって大事件だ。僕よりも強いフレイがだ。副会長よりも強い存在が会長だ。そんな相手に戦おうとしていた僕たちはどれだけ無謀だったのだろうか。そんなことを考えていた。そしたら、先程の戦いを観戦していた友達が話しかけてきた。
「おっツカサ、フレイは大丈夫そうか?」
話しかけてきたのはエレクだ。彼は入学したとき僕の席の後ろに座っていた人でそこから話すようになり仲良くなった。そんなエレクもフレイとは馬があいすぐに仲良くなり僕たち3人は仲良しグループとなっていた。
「フレイは魔力が枯渇してるみたいでしばらくは起きないみたいだよ」
「そうか。大丈夫ならいいがだいぶやられてただろ。あいつの気持ちはどうなんだろうな」
確かに体は大丈夫でも気持ちが折れるということはある。だが、フレイがそうなるような未来は想像ができなかった。
「大丈夫だよフレイならね。それよりも副会長のあの鎧みたいなのなにかわかる?」
僕は副会長が使った未知の魔法について話を変えることにした。今どれだけフレイのことを考えてもしばらくは起きてこないからだ。問題が起きたらそのときに考えようの精神で今を過ごすことにした。
「あの魔法か?いや、詳しくは分からないが魔力を物質化してるんじゃないか」
「物質化?」
「オレも詳しくはわからないけどよ小さいときにそんな話を聞いたことがあるんだ。何でも魔力を物に変換することができるとかって」
その話が本当なら僕は副会長と戦うことができるやもしれない。あれが魔力でできているなら僕の力で吸収ができるからだ。僕はそれの確証を得るために図書室で文献を調べることにした。
「エレクごめんだけど。僕これから調べ物が出来たからここで解散ね」
「あの魔法についてか、わかったよ。そっちも頑張れよ」
そうして僕は彼と分かれて図書室で調べ物を行った。フレイが起きるまでは図書室で調べ物をしようと考えていた。それからは僕は図書室で調べ物をする生活を1週間行っていた。彼はなかなか起きなかったのだ。本来なら3日ほどで起きるはずなのだが起きないというのはなにか起きているのかも知れないという不安があったがフレイを見ている先生が言うには魔力が全快していないというのだ。これが原因と見て間違いがないらしい。僕ではどうしようもできないため今日のところは帰って寝ることにした。
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