第12話

★???

俺は夢をみた。それはこことは違う遠い世界の出来事だ。


「佐藤さん、ノーベル賞受賞おめでとうございます。今のお気持ちはどうですか」

「はい、とてもうれしく思います。世界中の人々に電気を送ることが出来るくらいのエネルギーを発生させることが出来るのですから。私は世界平和に少しでも貢献が出来たのではないかと考えております。」


 私は佐藤。原発よりも安全で発電効率も高い新エネルギーを開発したものだ。

2020年代は激動の時代だった。新型コロナウイルスが発生し世界中はパンデミックを起こし、ウイルスのせいで巣ごもり現象が起きることによって電気の使用量が格段に上昇した。その結果が電気の不足だ。その現状を打破するために国は原発の再稼働を実行した。その結果電力は不足なく日本の家庭に送ることが出来た。だがそれも長くは続かなかった。


 なぜなら、原発を反対するものが多く出てきたからだ。それだけならよかった。この反対運動は規模が大きくなり、国が動かざる得ない状況になったのだ。これを読んでいる君は反対運動で国が動くのかと思っているだろう。君の想像とは規模が違うのだよ。


 最初は小規模のものだと聞いている。それこそ5人6人くらいの人間が

「原発反対!子供や孫の世代に負の遺産を残すな!」

っと言っている集団だった。この時の私はまたこんなことをやっているのかっと思っていただけだった。この状況が変わったのはそれから数年後の2025年のことだった。ある資産家が支援を始めたのだ。


この資産家は外国の人間だった。今ではどこの国の人間なのかは定かではない。だが、一つだけわかっていることがある。原発を集めている人間だったということだ。

いや、こういった方が分かりやすいかな。核兵器を趣味で開発している人間だったと。この人間の出現で5,6人の集団だったものはあっという間に数百人、数千人、数万人と拡大していった。なぜこの拡大を止められなかったのかというと警察や自衛隊もこの集団に入っているものがいたからだ。


数の暴力によって国は原発の停止だけではなく排除も行う必要が起きた。この核をどこに売るのかが問題になったがある商人がすべて買い取った。その商人とはこの騒動を起こすきっかけとなった資産家だ。


原発がなくなり日本は平和になったと思われた。だが、解決していない問題があった。未来の問題を解決したと思って浮かれていた者の目の前に現在の問題が出現した。電力が足りないのだ。短い期間だったが解決する方法があった関東と関西の周波数を統一したのだ。関東の50Hz に統一した結果少しの間電力は足りた。


周波数を統一するためにはお金がたくさん必要になるって聞いた?

日本にはあるではないか原発を大量に買ってもらった商人のお金が。

このお金は日本の借金をすべて返しても数年分の国家予算が余るくらいの金額が払われたという。そのお金を使用することで周波数を統一したっということだ。


時間がたつと技術の進歩につき必要電力は増していった。普通でさえ日本は狭い国だ。その中で発電所は多く立てられるようになった。原発一つで補う電気は数個の火力発電が必要だ。場所が足りないのだ。


そんな中私は何をしていたかというと普通に暮らしていた。嫁さんを貰い息子と娘を一人づつもらい平和に暮らしていた。だが、ある日、嫁さんと子供たちはある病気にかかった。新型ウイルスだと聞いている。だが、このウイルスは早くに治す方法が発見された。だが、多くの電力が必要とされる。今の日本では3人もの治療に数億円かかると聞いた。その時の私は数億なんてお金は持っていなかった。


一般市民が払える金額ではない。必死にお金を工面したが一人分にもならなかった。

そして、私は家族を全員失った。

私はこの時に決意したよ。新エネルギーを作ることを。この時、何を材料にすれば効率良くエネルギーを得られるか悟ったのがよかったのだろう。

ノーベル賞をもらう自分がいるのだから。


さて、長話も終わりにしよう。私の開発したエネルギーの材料は人間だ。正しく言うと人間の感情だ。感情をエネルギーへと変換する装置を私は開発したのだ。

私はとても驚いたよ。まるでSFの世界に来たみたいだと思ったからだよ。

昔の自分に言っても絶対に信じてもらえないくらいすごい発明をしたと思うよ。


この装置は現在日本に13か所ある。だが、これだけで日本中に電気を送っても余ってしまうほどの発電量なんだよ。1か所はねずみの国に存在するんだ。なぜかというと多くの人間が集まるだけでなく多くの喜びという感情を集めることが出来るからだ。


だが、喜びという感情はそこまで多くの発電は出来ない。一番発電出来る感情はどんなものか想像できるかい?

簡単だよ。恐怖、絶望などの負の感情だよ。負の感情は正の感情の約10倍以上発電できるといわれている。だからなのだろうね。この装置を置かれる場所は犯罪者を拷問にかける施設も併用しているのは。えっねずみの国にそんな場所はない。


なに言っているんだ。新しく出来たエリアには剣闘士を使った殺伐としたエリアがあるだろう。そこは本物の犯罪者を使い殺し合わせているんだよ。リアリティのある演技だと勘違いするのもわかるよ。だって本当に殺し合っているのだからね。まあ、あのエリアに行くのはそういうもの好きの人間だけだよね。


うん、もう時間かい。はあ。そうか。ならこの話も最後にしようか。

この装置を開発したのは後悔していないよ。この発明によって多くの命を救たのは本当なのだからね。だけど、一つ悔しいのはこの発明をした救世主と言っても過言ではない私を悪魔と呼ぶ人間がいることだ。その結果ありもしない罪をでっち上げられて処刑だ。本当に最悪の気分だよ。私の最後の役目を果たすとしようか。いや、年を取ったものの最後といった方がいいか。私の発明によって老人の最後は拷問を行った後に殺すことによって起きる負の感情から発電するというものだ。これ以外で死ぬ老人は今の時代に一人もいない。私がした発明でゆういつ後悔したことはこの拷問を受けないといけないことだろう。


新しいエネルギーを有効的に活用してくれよ。若人よ。


俺は夢をみた。こことは違う世界の夢を。生まれ変わり自由に生きていきたいと考えさせられる夢を

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