第9話
★フレイ
俺は今、聖獣フェニックスと共に副会長と戦っている。フェニックスを呼び出すことに成功したが副会長が冷静に水魔法を使い俺の魔法を相殺してくる。俺は想像以上に緊張したみたいでフェニックスの顕現に魔力を練習の時、以上に消費していた。そのため想定されていた時間よりも早くに決着をつけないと俺は魔力が切れて負けてしまう。
「クソっ。これでも駄目か」
またもや魔法が相殺された。フェニックスによって火力を上昇させても相殺されてしまう。もしもあれが副会長の全力でやって相殺なら俺が有利になるがそのような表情を出していない。これでは我慢しているのか本気じゃないのか判断がつかない。俺はだんだんと焦ってくるのを自覚する。そういえば、ツカサはこんな時こそ冷静になれと言っていたな。俺は力で押せなくなると冷静さを失いやすいとそれが強敵であればあるほどそのように陥ると言ってた。それが今なのか。
言われてみれば思い当たる節がある。今もそうだ。冷静に観察すれば副会長が肩で息をしていることに気が付くはずだったんだ。それなのに冷静になった今それに気がついたため。この状況は俺が有利なはずなのに冷静さをかいて自分から不利な状況に陥ろうとしていた。それに気付いた今はなにをするべきなのか。それは戦況をリセットして相手に休ませるべきじゃない。こうなったらこの状況を最大限活かし、このまま攻め押してしまおうと考えたときだった。
「ハァハァハァ。すごいね、君」
肩で息をしながら俺を副会長は褒めてきた。時間稼ぎのつもりだろうか。俺の領域はフェニックスによって強化され微小な魔力の変動にも感知するようになっている。その領域がこの副会長の周りに微小な魔力で魔法陣が描かれていることを感知した。これは副会長の準備が完了したということだろう。俺が顕現術を隠し持っていたように副会長にも何かがあるとそんな予感がした。
「副会長こそ何をするつもりだ、その魔法陣で」
「これは参ったな。そこまで気が付いたか、いや冷静さを取り戻してしまったか」
その言葉に俺は違和感を覚えた。冷静さを取り戻した?そこで俺はハッとした。はじめの幻覚は俺に精神魔法を作用させるブラフだったのだろう。そして、精神魔法が聞き始めて戦っていると魔力が枯渇して負ける、そういうシナリオで戦うつもりだったんだ。だが、フェニックスの再生の魔力によって俺は精神魔法を解除して無事に冷静さを取り戻すことができた。それが副会長にとって誤算だったのだろう。だがそれがわかったところで今の状況が変化する訳では無い。
「いくぞフェニックス。『
この魔法は俺とフェニックスの魔力を合わせることで発動する魔法だ。いわば、俺の必殺技みたいなものだ。この魔法はフェニックスの伝承を元に作成したものだ。フェニックスは再生するときに莫大な火力の炎の纏うとされている。その炎を模倣したのがこの魔法だ。この状況ならこれで倒せないはずがないと考え放った。
「なっ!」
それがどうだ。土煙で副会長は見ることができないが俺の領域で副会長は立っていることを感知している。つまり、あの攻撃を食らって無事だということだ。副会長の周りにあった魔法陣の魔力が消えていることから発動したのだろう。つまり、発動した魔法が俺の攻撃を防いだことになる。どんな魔法なんだ。少し時間が立つと土煙も落ち着いて副会長の姿が見える。その姿は生徒会らしく制服を身に付けていない。いや、それどころか戦地に赴くように鎧を付けていた。副会長はこの戦いは制服で行っていたはずだ。なのに鎧を身に着けている。つまり、あれこそがあの人の魔法なのだろう。
「それで終わりですか?」
その言葉は俺を明らかに挑発する言葉に聞こえるがあの人は本気でそう思っているのだろう。すべての攻撃を防ぎ切って見せたあの防御力をろ突破するすべをお前は持っているのかと聞いているのだ。
「一つだけまだある。これであんたが倒れないなら俺の負けだ」
俺はもう魔力が殆どない。次の攻撃が最後になるだろう。だからこそ俺は最高の攻撃をしたいと感じた。だが、俺の最大の魔法は先程使ったものだ。それを防がれたら次の魔法はない。だが、それは俺の完成した技の中ではだ。未完成の技の中にはあれを超える魔法がある。それをぶっつけ本番でやろうと考えているのだから俺はどうしようもないほどの負けず嫌いなんだろう。だからこそ勝つ可能性のある技をここで放つ。
「いくぞ。これが最後の攻撃だ!」
「こい!」
二人の声は熱狂した闘技場に響いていた。
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