第7話

★ツカサ

「フレイ、待ってよ。生徒会長がどこに居るのか知ってるの」

フレイはこの学園で一番強いのが生徒会長ということを知り早速挑戦しようとしている。だが、生徒会長がどこにいるのか知っているのだろうか。

「いや、知らね〜」

フレイは戦いにおいては賢いが普段はポンコツな部分がある。それが今だ。

「知らないならそんなに急いでもしょうがないだろ。今日はこの後の予定もないし帰ろうよ」

「予定がないから挑戦しに行くんだろ」

これは何を言っても戦うまで帰らないつもりだ。僕が戦ったのに触発されて戦いたくなってしまったのだろう。

「は〜。なら職員室に行こう。そこなら生徒会室の場所がわかるから、それで生徒会室に居なかったら諦めてよね」

「よっしゃ。了解だ。なら、職員室に行こうぜ」

それから僕たちは職員室に移動した。

「生徒会長はいませんよ。家庭の事情で帰ってくるのは来月です」

その言葉はフレイを落ち込ませるのに十分なものだった。だが、次の言葉でテンションが上がっていた。

「生徒会長と戦いたかったのなら残念ですね。では、副会長とやってみたらどうですか」

「生徒会長の次に強いやつですか!」

こいつは自分の実力を知りたいとかの殊勝な考えはなく、ただ単に強いやつと戦いたいだけなのだろう。

「そうですよ。ちょうどここにいるので待っててください」

そういうと先生は副会長を呼びに行った。

「楽しみだな、ツカサ。どんだけ強いんだろうな」

「調子に乗らずに頑張ってよね。すぐに負けるとか最悪だよ」

「わかってる」


こうして雑談をしていると見知らぬ男性が先生と一緒にこちらに来た。おそらくあの男性が副会長なのだろう。一目見ただけでわかる濃密な魔力を宿していた。そのことをフレイに言おうとしたら、驚くほどワクワクとした表情だった。

「彼が先生の言っていた生徒ですか」

「そうですよ」

「俺と・・・」

フレイの言葉に被せるように副会長は一言言った。

「時間ですが明日で大丈夫ですか。今からでは夜になってしまうかもしれませんからね」

今はもうすぐ16時になろうとしていた。そんな中で戦ってしまうと遅くなるのを危惧していたみたいだ。つまり、フレイとは本気でやってもらえるということだ。そのことを理解しているのだろうフレイは嬉しそうに了承していた。これで職員室に用事は終わった。僕たちは帰ることにした。


★副会長

「彼といつも通りに戦えばよろしいですか」

彼は新入生だ。念のため、どういう風に倒すのかを先生に聞いてみた。

「そうですね。新入生には偶にいるのですよ。こういう風に調子に乗っている人物が。なのであなたにはその鼻っ柱をへし折ってあげてください」

そのセリフは教師としていかがなものだろうか。だが、この学園の設立理念を考えると調子ににのった人物は要らないということだろう。

「わかりました。では、そのようにしますね」

そう言って私は明日の準備をすることにした。


★フレイ

今日は楽しみにしていた副会長との戦いの日だ。昨日決まった戦いだが、楽しみで寝るのが大変だった。寝不足で負けましたではダサすぎるからな。そして、放課後になり決闘の時間になった。

「フレイ、準備は出来てる?」

ツカサは当たり前の事を聞いてくる。

「もちろんだ。このために授業は寝たんだからな」

英気を養うとはよく言ったものだ。この言葉は今の俺に相応しいだろう。戦いの為に無駄な力を極力減らしたのだから。

「は〜。先生たちがすごい顔してたよ」

まじか。先生たちに目を付けられるのは駄目だとあれほど言われたのにどうしてこうなった。頭をカカエていると

「今は副会長との決闘だけ考えよう」

とツカサに言われてそれもそうだなと思い戦いに集中することにした。


俺たちは闘技場に移動した。

「フレイ、全力でやってもあの人は大丈夫だと思うよ」

そう言うとツカサは観客席に移動した。

ツカサにそう言われて俺は頷いた。あの人を見たときビビッと来たんだ。あの人には全力でやっても勝てないだろうと。だからこそ楽しみなのだ。勝てない相手にどうすれば勝てるようになるのかが。

「準備はできましたか」

声をかけられて想像以上に考え事をしていたみたいだ。

「大丈夫だ。何時でもやれるぜ」

ここにフレイと副会長の戦いが始まろうとしていた。

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