第6話
★ツカサ
「ツカサ~。あいつに一撃を入れるとこは笑えたぜ」
そういいながら近付くいてくるのはフレイだ。決闘で勝利した後すぐに会いに来てくれた。それで一声目が笑えるだ。本当にひどいと思う。
「それが決闘に勝った奴にかける第一声か?」
「だってよ。お前が勝つのは目に見えていただろ。だから相手がどれほどの腕前か見ていたら想像以下だな。所詮同年代での実力があるというのはあの程度っていうことだ。これでわかっただろ、ツカサ」
そういわれて頷くほかなかった。僕はどんな相手でも油断せず全力で倒すことを信条としているが様子見で終わってしまったからどうにも反論することが出来なかった。「あの戦いじゃ不完全燃焼だろ。俺ともやろうぜ」
「それは困りますよ。フレイ君」
そういいながら近付いてくるのは学園長だ。
「今二人が戦うと闘技場が壊れてしまいます。なのであなたたちの戦いはまた今度にしてもらえますか」
「そういわれると仕方ないなぁ。ツカサもそれでいいか」
「僕はそれでいいよ」
そんな話をしていたら僕たちに近づいてくる子がいた。
「あの~。助けてくださってありがとうございます」
そういいながら近付いてきたのは、あのデブに絡まれていた女性だった。
「君はあの時の~」
名前を思い出そうとするがよく考えれば自己紹介をしていないため相手の名前が分からなかった。
「そういえば自己紹介がまだでしたね。私の名前はアイリス。アイリス・アクシアと
申します」
「僕はツカサ。こっちはフレイ。どっちもイカルス家だよ」
そういい両方の自己紹介を終わらせた。
「それで勝者となったあなたには私を好きにする権利が渡されましたがどうされますか」
そういわれて思い出したが確かにそのような条件で決闘を行っていた。だが、僕が彼女をどうするとか全く考えていなかった。
「じゃあ、その権利をなかったことにしてくれたらいいよ。フレイ、腹減ったしご飯行こうよ」
そういいながらフレイと一緒にこの場を離れた。彼女の様子をこっそり見ると安心した様子だった。どうやら善意で僕が助けたとは思っていなかったようだ。貴族社会はどうやら腹黒い世界というのはあながち間違いではないのかもしれない。
食堂に来て大盛のごはんを二人で食べてた。
「ツカサ。ここの飯はうまいな」
「そうだね。家の食事とは違ったおいしさだね」
そういいながら今日の戦闘について振り返っていた。今日勝てたには僕の情報を何お知らない相手と戦ったからだ。この戦法で勝てるのは少しだけだろう。すぐに周りが対処法を編み出してくるのは目に見えていた。
「これからツカサはどうするんだ。あれはまだ完成してないんだろ」
あれというのは僕の隠し玉のようなものだ。確かにフレイがいう通りにまだ未完成の代物だ。
「少しなら使えるから戦いながら調整していこうと考えてるよ。今日もその調整が出来たらと思ってたけど、一発で終わっちゃったからね」
「それは災難だな。確かに調整にはいい相手だと思ったが想像よりも弱かったからな」
そんな会話をしている食堂では先ほどの戦いを見ていた観客の生徒が彼らに話しかけたそうにしていた。近くにいた生徒は先ほどの会話を聞き、あのデブはそこまで弱くないぞ。と心の中で反論していた。あのデブは1年生の入学時点で上級魔法を使えてた。その証拠がフレイムカノンだ。ファイアーボールを高火力にしたのがフレイムカノンだがその魔力制御は上級クラスの魔法だ。普通は入学時点ではよくて初級魔法を扱える程度のものだ。その中で一つといえども上級魔法を扱うのを見せたあのデブはなかなかな腕前を持っていると言える。
「そういえばさ、この学園で一番強いやつって誰なんだ」
急にそんなことをいうフレイを呆れた目で僕は見ていた。
「何も聞いていなかったのフレイ?」
「うん?なんか言ってたか」
どうやらフレイは本当に何も言いていなかったようだ。この学園のことは入学式の時にも話された。実力至上主義のこの学校で一番強い生徒は間違いなく生徒会長だ。なぜなら、生徒会総選挙とは名ばかりの学園一を競う闘技大会が開かれるからだ。そこで優勝した生徒が晴れて生徒会長となる。つまり、学園一強い生徒は生徒会長となる。そのことをフレイに伝えると
「なるほど。そういうことか。なら、俺は生徒会長と戦いたいなぁ」
そういう表情はまるで憧れの人と相対した時の表情だった。
「なら、やったらいいじゃないか」
そんなことを言いながら近付いてくるのは2年生だった。なぜわかったかといういうとこの学園の制服には学年を表すエンブレムがつけられているからだ。それを見て判断しただけだ。
「えっ出来るの」
っと思わず反応したのはフレイだ。
「生徒会長はいついかなる時も挑戦を受けなければならないからね。挑戦をしたいことを言えば戦えるよ」
「ありがとうございます。ほらフレイも」
「さんきゅ~」
お礼を言ったが2年生の生徒は手をひらひらと振り、お礼はいいというような態度で何処かに行った。
「おい、ツカサ早速挑戦するぞ」
そういうとフレイは生徒会長がどこにいるのかも知らないのに走っていった。
「おい、どこにいるか…まったくもう」
僕はフレイを追いかけることにした。
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