第9話
★フレイ
『
俺が開発した魔法がこの
「ここまでか」
俺はこの時、覚悟をしていた。この魔法を受けた時、無事では済まないだろう。だが、何もしなく受けては死ぬ可能性がある。そんな威力の魔法を放ってきたのだから。少しでもダメージを減らせるように魔力を全身に流し防御力を高めた。
だが、いつまでたっても魔法が俺に着弾することはなかった。
「あれ、なんで?」
周りを見渡すとそこは闘技場ではなく、親父のいる観客席だった。
「無事か、フレイ」
「なんでここに」
おそらく俺は魔法でここに連れられてきたのだろう。
あの状況ではそれも仕方がないのかもしれない。だが、俺は自分の強さに胡坐をかくだけでなく奴に負けたんだ。俺は悔しくて下を向いていた。
「フレイ、この戦いは中止だ」
その言葉に俺は顔を上げて親父に質問をした。
「なんでだよ。この勝負はどう見てもあいつの勝ちだろ」
「ツカサ君はおそらく操られている。おそらく高位の魔族にだ。何者かが計画をしていたのだろう。それにあの魔力量だ。大災害を引き起こしてもおかしくはないだろう。ここは俺たちがあいつを抑える。だから、お前は逃げろ」
その言葉は俺を心配しての言葉だとわかった。だが、俺はこの場では役立たずな存在なのだと理解してしまった。
舞台では変化が起きていた。俺が戦っていたツカサの近くに三人の大人が現れたからだ。一人は仮面をかぶっている人間、そして後の二人はツカサの両親だった。
「あいつら何をしている。危ないぞ」
親父が三人を心配知るのをよそにツカサの両親はツカサの胸に手を貫いた。
「親父、あれ!」
手を貫かれたツカサは魔力が減少していた。でも、何かおかしいことにすぐに気づいた。魔力が目に見えて減っているのに感知できる魔力量は変化していなかったことに。
ツカサの両親は手を引き抜くと同時にツカサを蹴飛ばしていた。幸い、ツカサは無傷だった。どうやらあの二人は魔力にだけ干渉することが出来る技を持っていたみたいだ。だが、安心するのはここまでだった。二人の手には強大な魔力が存在し、それは生きている心臓のように胎動していた。
「魔力を抜き取ったのか!いやそれだけじゃない。奴らがとったのは魔族の核か」
その言葉と同時に二人は仮面の人間につかんでいる魔力を挿入した。変化が起きたのはこの時だった。仮面の人間の仮面は魔力に耐え切れなかったのか壊れてしまった。そこで見えた素顔は人間のような顔ではなかった。顔には角が生えていたからだ。あれは魔族なのか。そんなことを考えているとあの三人は何か言葉を交わして魔法を使いどこかに行ってしまった。おそらくあれは俺が受けた転移魔法と同じものだろう。
「なんだとっ」
親父はあの三人の話し声が聞こえたのか驚愕の声を上げていた。
「ど、どうしたんだよ親父。何か聞こえたのか」
心配する俺の声に親父は答えた。衝撃的な答えを
「魔王が復活した」
誰もがおとぎ話として聞く存在がある。それは勇者と魔王だ。
それが伝説と思われていた魔王が復活した。
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