第7話

★ツカサ

 目が覚めると僕はベットの上にいた。

「知らない天井だ?」

知らない?そこで僕は自分の異変に気付いた。思い出せないのだ。何も。

ガラガラっとドアが開くような音が聞こえてきた。

「やっと目を覚ましたか。ツカサ、気分の方はどうだ」

「だれ…ですか」

この人物はおそらく僕と同年代なのだろう。だけど、僕はこの人物を知らない。いや、違う。この人物を僕は思い出せない。だけど、なぜか知っているという感覚に陥る。そして、思い出そうとすると

「うっ、あ…頭が痛い」

「おい、無理して思い出そうとするな。体に響くぞ。俺は人を呼んでくるからおとなしくしてろ」

そう言って同年代の男の子はどこかに行った。


記憶を思い出そうとすると頭が割れるような痛みがするから、思い出そうとするのをやめた。だが、そうすると彼が戻ってくるまでどうしようか。と考えて周りを見ているとどうやらここは病院ではないようだ。部屋にあるものが一つ一つ高価なものみたいだった。高価なものを不特定多数のものが入る場所に高価なものを置いていたら盗まれてしまう。そのことからここが病院じゃないと考えた。そんなことを考えていたら彼は大人を2人連れて戻ってきた。それから、僕は診断をされた。


「どうですか、彼の容態は?」

どうやら彼が連れてきた人の一人は医者のようだった。

「ツカサ君の意識ははっきりとするところまでは回復をしています。彼は一時的な記憶喪失なのかもしれません。念のため1週間ほど安静にしていてください」

そういうと医者の人は部屋から出ていった。


僕の現状を聞き僕は少し安心をした。しかし、僕が記憶を思い出せない状況にいあるため彼らに聞かなくてはならない。どうして、僕がこのようになっているのか

「僕はどうしてここにいるのですか?どうして何も思い出せないのですか」


「そうだな。まずは、現状を整理するためにも話をしようか」

彼が連れてきた大人の人が話しかけてきた。

「まずは、こいつが誰かわかるか?」

そういって目を覚ました時にいた人物の頭の上に手を置き聞いてきた。

「わかりません」

首を振りながら答えた。

どうやら、僕と彼は一度は知り合っているようだった。それがどのような関係だったのかはわからないが思い出せないというのはもどかしい感じだ。

「俺はフレイ。名前を聞いても思い出せないか」


「ふ…れ…い」

その名前は聞いたことがあるような感覚に陥った。断片的とだが何かを思い出してきた。その記憶は何かと戦っているものだった。あ…頭が痛い。

「おい、無理に思い出そうとするな」

だが、ここで思い出すことをやめたら二度と思い出せないかのような感覚に陥った。だから僕は彼の言葉を無視するように思い出そうとした。断片的と思い出してきた。それは何かと戦っている記憶だ。僕は緊張をしている。戦いの前に何かを僕は思い出したんだ。確か、それは、緊張しているときほど先制攻撃を与えることをすることを思い出したんだ。そこで僕は、身体強化魔法を使って接近戦をしようと走って近づき相手を殴り飛ばした。いい一撃を与えたと思ったけど相手は立ち上がってきた。さっきのお返しとばかりに魔法の連続攻撃を食らったんだ。このままではじり貧になると考えて、超接近戦、つまり、射撃系の魔法を使えない範囲で殴り合うことを考えた。そのために僕は魔法の連続攻撃を受けながらも相手に近づき殴り合った。そこで僕は相手の顔を少しづつ思い出してきていた。それはまるで一撃一撃与え与えられると少しづつ相手の顔が鮮明になってきていた。

相手は、いや、フレイは僕と決闘をした人物だったんだ。僕の記憶はそこで途切れていた。そのことを彼らに伝えた。


「そうか。そこは思い出せたのだな」

そういいながら何かを考えるようなそぶりをしていると

「おっとそうだ。記憶を思い出しても俺のことはわからないよな。

 俺の名前はカノン。フレイの父親だ。そして君はツカサという名前だ」

その言葉を聞いた瞬間、無意識に腹がなった。

「まずは、腹ごしらえをしてからだな。フレイもそれでいいな」

「ああ、それでいいぜ。親父」

そういうと彼らは僕の部屋にご飯を運び、ご飯を食べることになった。

ご飯は僕のことを気遣ってか体によさそうなものが多かった。

一つ食べてみると思わず感想を口に出していた。

「おいしい」

「うちの飯はうまいんだぜ」

自慢するようにフレイは話しかけてきた。

「今日はツカサの為に消化にいいものを出してもらっているが、これよりもうまいものを出せるんだぜ。楽しみにしてろよ」

これよりもおいしい!無意識に口から唾が垂れていた。

それを袖でこすりごまかした。

二人はその光景を見てくすりっと笑っていた。どうやら、ごまかせていなかったようだ。だけど、少し楽しみだ。健康になったらまた食べにきたいと思えるほどの料理を出してくれたがそれよりもおいしいものを出せるというのだから。それからというもの僕は夢中になって出されるものを食べていった。


ご飯を食べ終えるとフレイが話しかけてきた。

「飯も食べたことだしさっきの続きをしようぜ」

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