第6話

★???

 いよいよ戦いが始まったか。これで私の計画も最終段階にコマを進めることが出来る。楽しませてもらうぞ、ツカサよ



★ダーマス

 私の生徒のツカサの戦いが始まった。驚愕したことに彼は戦いが始まるのと同時にフレイ君に一撃を与えていた。私はこんなことを教えていなかったが、緊張しているのが見えていた現状では最適な結果なのだろうと考えられる。だが、相手のフレイ君は自身の炎の力によって、傷を回復していた。このことから、彼の魔力及び炎に何かしらの力が隠されていると考えられる。そう考えていると刻一刻と戦況が変化をしていた。

「無詠唱ですか!その年でなかなかやりますね」

思わず彼の力量に感嘆の声が漏れてしまっていた。

「我が子も負けてないみたいですねぇ。先生の教えがいいからかしら」

ツカサ君のお母さんが話しかけてきた。

その時、私はふと違和感を覚えた。何かがおかしいと確かに感じた。それが何なのかはわからないが。根本的に何かを勘違いしてるみたいに。

「どうしたのかね。先生。体調が悪いのなら休んでいたまえ」

ツカサ君のお父さんから心配の声が上がったが

「大丈夫です。この結末を見るまで倒れませんよ」

私はこのためにツカサ君を育てたのだ。ゆえに結果を知らないといけない。


★ツカサ

魔法全弾照射フルバースト

その魔法名が聞こえた時に僕の体には無数の衝撃が走っていた。

第一潜在能力開放ファーストドライブでも受けきれないのか。彼の使う魔法の中でもかなり強力なものだと伺えるものだ。10秒、20秒、…、1分と長い砲撃が続いていた。だが、それでもこの世にははじまりがあるのなら終わらないものがないように彼の魔法も打ち終わった。


「うっ・・・」

防御に力を割り振っていたのにかなりのダメージを受けてしまったことが分かった。正直もうここで戦いを終わりたいと考える自分が存在するくらいにはダメージを追っていた。しかし、今の僕はまだ戦いたいと考えている。第一潜在能力開放ファーストドライブで無理ならその次の領域に踏み込まなければいけない。そうだ第二潜在能力開放セカンドドライブを使わなければならないのかもしれない。駄目だ。何を考えていたのだろう。2段階目のあの魔法は僕の体には負担が大きく使うことが出来ないというのに。そんなことを考えている暇があるのならこの状況を変えることに意識を持っていこうとした。そして、まずはこの距離をどうにかしないといけないと考えた。彼との差は50mほどの距離が離れている。あれほどの攻撃を放ったのだ地面がえぐれている可能性もある。今は土煙が立ち上っているから周りの状況を確認できないが、晴れたら状況の確認をして、詰めれるなら距離を詰めようと考えた。

「…」

ボソボソと何か聞こえた。何だと考えていると僕の周囲から風の刃が飛んできた。

すぐに相手の攻撃魔法だとわかり幸いにも不可視の攻撃が土煙によって目に見える状態になっていたためすべてよけきることが出来た。

「これくらいは出来るさ。しまった」

そうだ、僕は勘違いをしていることがすぐにわかった。彼が使った魔法は僕を攻撃するためではなかったのだ。土煙を晴らすことが目的で行われた攻撃だったことをすぐに理解した。次が来る前に僕も手を打たないと後手後手に回ってうまく立ち回ることが出来ないと考えた。周りを見渡すと不思議なことに地面はえぐれている個所は存在していなかった。そのため、全速力で距離を詰めようと僕は走りだした。


★フレイ

「ウィンドカッター。これで土煙は消える」

奴がまだ立っているのかこれで確認が出来る。わざわざ土煙を収まるまで待っていてやる義理はない。これは戦いなのだから。魔法が土煙を払うのと同時に奴は姿を現した。奴の見た目はボロボロになっていた。俺の魔法全弾照射フルバーストを受けきったみたいだ。化け物かあいつは。この魔法はダンジョンに住む魔物でも一網打尽に出来る魔法だぞ。それにドラゴンにすら倒せるかもしれないと言われているのに奴はボロボロになるくらいに住んでいるというのは何だ。開始と同時に発動した魔法と関係しているのか。もしかしたら身体強化魔法の類なのかもしれない。だが、聞いたことないぞあれほどのスピードを上げたり防御力を上げる魔法なんて。魔法はまだまだ知らないことがあるということなのか。面白くなってきたじゃないか。そう思っていると奴は俺との距離を詰めてきていた。接近戦をすれば俺に勝てるとでも言いたげな作戦だった。


「舐めるな。炎属性付与フレイムエンチャント

奴が身体強化が出来るように俺は自身に付与魔法を付与することが出来る。

この付与によって俺は攻撃力の上昇のほかにも俺の力による常時回復が付与されている。持久戦に持ち込んで有利なのは俺なんだ。


そこからは長い間、奴と殴り合っていた。時間を忘れてしまうほどの長い間を。

「いい加減にあきらめろ。鬱陶しいんだよ」

俺はそういいながら今出せる全力の一撃を奴に叩き込んだ。そこからだった奴がおかしくなり始めたのは。黒色の魔力が奴からいや、ツカサから漏れ始めたのは。ツカサの傷が徐々に回復していっていた。それはまるで俺の力のように。そのことに気づいていないかのようにツカサに話しかけられた。


「これで、終わりか。僕は…まだ…戦えるぞ」


俺はこの時に何かが始まるのだと理解した。俺が本当の戦いはこれからなのだと。


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