第4話
決闘当日
あれから僕は魔法漬けの生活を送っていた。
そのおかげで決闘に使用してもいいレベルの魔法を一つ習得できた。そう、一つだ。
先生が言うには今の僕は複数の魔法を使いこなし戦闘を構築するための訓練は時間が足りないと判断をした。そのため、一つの魔法を最大限強化していく方針になった。
僕は正直、不安だ。
怖いと言ってもいい。
今までこんなに負けることが怖いなんて考えもしなかった。負けてしまうことで、今まで応援していた家族の期待を裏切ってしまうのではないかと考えてしまうからだ。
だから僕は勝たなければならないんだ。
「ツカサ君、もうすぐ時間だよ」
先生から声がかかった。
もうそんな時間なのか。
思っていたよりも僕は気負っているのかもしれない。
「わ、わかりました。すぐに準備します」
「大丈夫。今までやってきたことを全力でやりなさい」
「ツカサ!頑張りなさい」
「ツカサちゃん。頑張って」
先生、お父様、お母様からの声援を受け僕は、
僕の戦場に旅立った。
闘技場
「お前が俺の対戦相手か」
僕の目の前にはこれから戦う相手がいて、話しかけられた。言葉遣いは悪そうだがいい人かもしれないと不思議に感じる。
「ツカサです。よろしくお願いします」
知っていると思うが一応自己紹介をしておいた。相手から何か情報を引き出して有利に戦わないと。
「俺はフレイ。フレイ・ソレイユだ。いい戦いをし良いじゃないか」
そう言うと彼は決闘の開始位置まで下がって行った。やっぱり、思ったよりも悪いやつではないのかもしれない。けど、戦うことを楽しみにしている節がある。こういう人って確か先生がこう言っていた気がする。バトルジャンキーって。興味を持たれたらおしまいで、勝つまで逃さない人種もいるからバトルジャンキーには気を付けるように言われていた。
ソレイユ家は炎属性の使い手を多く輩出していると聞いている。対戦相手のフレイは噂では炎を燃やし、自分の力にすると聞いたことがある。
先生に聞いてみたら魔法では不可能だと聞いている。
魔法はあくまでも、自信の魔力を媒体にすることによって世界の事象に干渉する力だと聞いた。難しいことは分からないが、他人の魔力を媒介にして自分の魔法に作り変えるのは理に反するから出来ないと言っていた。
だけど、一つ注意するように言われている。
この世には特殊体質と呼ばれる人がいると。
魔法では説明出来ない不可思議な現象を引き起こすことができるという。それが僕が戦うフレイなのかもしれないと。
考えていても仕方がない。僕はフレイとは反対側に立ち準備をした。審判を担当する人も来た。もうすぐ始まる。やれることをやればいいんだ。
「これより、イカルス家とソレイユ家の決闘を始める。両者は準備の方は大丈夫か」
「いつでも構わなぜ」
「大丈夫です」
審判の言葉に僕たちは反応した。
僕は緊張しているのに対してフレイは楽しそうに笑っていた。
それが一層僕を緊張する状況を作っていた。
「それでは始める。決闘開始!」
審判の大きな声で開始の合図が出された。
★
会場の雰囲気は良くない。会場では貴族の誇りを賭けた決闘が行われるからだ。
これでは私の教え子のツカサは会場の空気に飲まれてしまう。
ツカサは普段でさえ自分に力がないことを嘆いているのにそれを顕著に意識せざるを得ないこの場所に立つことで緊張して十分に力を発揮できない。だが、そんなこともあろうかと私は訓練をしてきたのだ。おそらくツカサは私を嫌っているのかもしれない。
私はツカサのことを嫌ってはいない。その逆で好ましく感じている。なぜなら、私の古代魔法を受け継ぐに相応しい能力を身に着けているからだ。魔法をうまく使えないのは魔力が多いからと説明したがあれは間違いだ。
魔力を多く込めると現代魔法は古代魔法に匹敵する力が得られる。それなら、古代魔法を使う方が遥かに便利だ。だが、そうしない理由は単純でそこまで魔力を込めれる人間がいないということだ。そんな中でツカサが魔法を使えないのは特殊体質が原因だと考えた私は今回の依頼を受けた。そして、ツカサが特殊体質ということは判明したがどういうものか分からずじまいで決闘当日になってしまった。
現代魔法が使えず古代魔法が使える。そして、魔力が多い。この2つしか分からない今ではどんなに考えてみても仕方ないだろう。今はツカサの方を気にすることにしよう。
そして、ツカサ見たら見事に緊張していた。
控室でも、ツカサは気を負っていた。だから、安心させる意味でもやってきたことを出せと言ったが逆効果になってしまったのかもしれないなぁ。
そんなことを考えていたら時間が来たみたいだ。決闘を開始した。
会場の雰囲気は殺伐としておりフレイが蹂躙するのを期待している声が上がっていた。
だが、会場は空気は一変する
会場の全員は度肝を抜かれた光景を見たからだ。
先制攻撃を与えたのはツカサだった。
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