第3話

「お父様、お母様、僕、魔法が使えるようになりましたよ」

「なんと!誠か!これは宴だな」

「ええ。そうですわね。当主さま」


 僕は家庭教師の先生から古代魔法の授業を1か月続けていた。

その成果が出て古代魔法の一つを使えるようになった。


この世界では、貴族が魔法を使えるようになるのは平均5歳からといわれている。

だが、ツカサが魔法を使えるようになったのは、10歳だ。これは世間から見るとだいぶ遅れていることだった。だが、古代魔法を使えるツカサには些細な差といえるだろう。一般的な魔法を使うものに対してだが。


僕は魔法が使えるようになった日にお父様とお母様に誰よりも早く報告した。

今まで僕が使えないせいでイカルス家は馬鹿にされていた。

当主は魔法の腕は優秀だが後継者を育てる腕はなかったみたいだ。

ご子息は無駄飯ぐらいだな。

などの陰口を叩かれていた。魔法が使えるようになった今ならこのようなことを言われなくなると思うと頑張った甲斐がある。


「ツカサ君、それはないよ」

先生が僕の考えを否定した。

魔法が扱えるようになっただけでは、僕を馬鹿にしていた人物の考えは変わることがないだろうと。


「どうすれば、馬鹿にしたやつらを見返せれますか」

「簡単だよ。強くなればいい。それこそ君のお父さんよりも強くなれば誰も文句は言えないよ」

ぼ、僕がお父様よりも強くなる。

そんなこと

「出来るでしょうか。僕に。お父様を超えれるような強さを手に入れることが」


「そのために君に覚えてもらったじゃないか。その魔法を」

「???どういうことですか。僕が覚えた魔法とどう関係するんですか」


「君が覚えた魔法はね、君の体を基礎を作るのに不可欠の魔法だ。

 これから様々な魔法を教えていくがこの魔法を扱えないと古代魔法は使い物にならない。だから、まずはこの魔法の熟練度を上げていこう。そうすれば君の土台はおのずとできていくよ」


その言葉を聞いてから僕は魔法の練習に励んだ。

もちろん、先生による古代魔法の授業も受けどんな魔法が存在するのか、どういう歴史で魔法が変化をしたのかを学んでいた。

そんなこんなで過ごしていたらある貴族から声がかかった。


お父様のライバルといえる家のソレイユ家からだ。

この家は若いころお父様と競い合った家系だと聞いている。学園や軍に所属しているときなど様々なことで競い合ったらしい。それがあって、僕が魔法が使えるようになったとき、お父様は様々な人に言いふらしてしまったらしい。それだけ息子である僕が魔法を使えるようになったのがうれしかったと言えるのだけどこの光景を見たらそうも言ってられないよね。


「本当にすまん」

「あなたの口が軽いのは知っていますがひどすぎます。ツカサはまだ魔法を使えるよういなってそんなに時間は立っていないのですよ」


聞いてもらったらわかるがお父様とお母様は喧嘩の最中だ。しかも、僕についての。


「本当に悪かった。あいつの息子自慢を聞いていたらつい」

「ついではありません。子供ですかあなたは。それで何で息子通しが決闘をすることになるのですか」


はい。僕の最初の戦いの場が知らずのうちに決定されていたのです。

これは由々しき事態ですよ。僕はまだ一つの魔法しか使うことが出来ません。

それで対抗しようと考えていた時もありました。相手の情報を聞くまでは。


「相手の子は魔獣を狩ることやダンジョンに入ることが出来るほどの実力といいています。そんな相手と戦ってツカサがケガをしたらどうするのですか」


ダンジョンとは、魔獣が住処としている場所である。それ以外にも、魔力濃度が高くモンスターが持つ武器が強化されている。えっ。宝箱に武器が入っているのではないかだって、宝箱が自然に発生した場所においてあるわけないだろう。そんなことがあるのは物語の中だけだ。

ダンジョンの詳しいことは置いておくとして、ソレイユ家の息子はダンジョンに入るだけの力は持っていると言える。それが、どんなものかというと魔法のランクで言うと中級から上級を使えると考えた方がいい。


中級は10年上級はさらに10年ほどの訓練が必要とされている。その中で、ソレイユ家の息子は最低でも中級が使えるというのだから優秀なものだった。

決闘させるのに魔法が使えるようになったツカサとは実力差がありすぎると思うだろうがツカサとソレイユ家の息子は同い年だ。そんなことで彼と決闘する羽目になったツカサが多少不憫なことだろう。


「お呼びでしょうか、旦那様」

「お~来てくれたか」

この掛け声とは対照的にお父様は土下座をしていた。

「えっと。これは。ツカサ君どうなっているのだい」

先生が戸惑った声で僕の方によって来た。

「えっと。それは声からお父様が話してくれます」

そこからお父様の説明があった。


「なるほど。つまり、決闘をやる必要があると」

「どうにかならないだろうか。せめて、息子が負けてもいい。だが、やるならいい経験をさせたいのだ」

「何言っているのですか、決闘をやる羽目になったのはあなたのせいでしょうが」

そして、またお母様からの説教がお父様に繰り返された。


そんな中で先生は、考え事をしていた。

「わかりました。可能な限りのことは行いましょう。ですが、時間が足りないというのも事実です。決闘までの時間を魔法の訓練に充てても構わないでしょうか」

お父様とお母様の返事は同時だった。


「「よろしくお願いします」」


こうして、僕は決闘まで魔法づけの生活を送る羽目になった。

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