第2話

「ツカサ君、私が家庭教師として君に古代魔法を教えてもいいかな?」


「よろしくお願いします」


「じゃあ、まずはお互いに自己紹介をしようか」

そういえば先生のことを何も知らないことに気付いた。

最初は僕がやった方がいいよね。

「僕からやりますね」

「いや、君のことは聞いているからやらなくても大丈夫だよ。それよりも私の方が知りたいだろう」

「それはそうですけど」

確かに名前を言うだけのつもりだったからいいけど、いや、名前だけならお父様から聞いているからいいのか。


「私の名前はダーマスという。古代魔法の数少ない担い手だ。よろしく」

「よろしくお願いします」

「そうだ、私について質問とかあるかな?ただしこの仮面のことは教えられないよ」

仮面のことは教えてもらえない?

何か秘密があるのだろう。

う~ん。質問か。そういえば古代魔法の数少ない担い手って言っていたけどどういうことなのだろうか。

「古代魔法は珍しいのですか?」


「あ~それはね。古代魔法は使われなくなった魔法だからだよ」

使われなくなった?

「どうしてですか」

「じゃあ、ここからは古代魔法についての授業を始めようか」

「よろしくお願いします」


古代魔法というのは名前の通り古代に使われていた魔法だ。

今の魔法の原型となったと言われている。

今使われている魔法は現代魔法よ呼ばせてもらうよ。

古代魔法は現代魔法よりも強力で使いやすいものになっている

では、なんで使われなくなって現代魔法に移行したのか。

実は原因ははっきりとしている。

人間の魔力量が減少し、古代魔法を扱える平均魔力量を下回ったからだ。

これが原因で、魔力量が少なくても使える現代魔法が開発されたと言われている。


「質問いいでしょうか、先生」

「もちろん、かまわないよ」

「魔力が少なくなったのに原因ってあるのですか」

「いい質問だね。それは」


魔力が少なくなった原因ははっきりとしていない。

戦後に魔力不要論が出た

魔力欠損病が蔓延した

などが原因といわれているがはっきりとしていない。

一つ言えるのは魔力が少なくなり、魔法技術は衰退したということだ。

古代魔法を使うものは数を減らし、今では数えれるくらいになっている。


「今はどれくらい使える人がいるのですか」

「それはわからない。私も使える者の人数をすべて把握していないからね」

「そうですよね。じゃあ、現代魔法との違いは魔力消費量のほかに何かあるんですか」


現代魔法との決定的違いは先ほど言った魔力消費量だ。

だが、他に上げるとしたら威力が桁違いに強いことだ。

現代魔法と古代魔法には同じように階級が存在する。

それは理解しているな。

初級→中級→上級→最上級→超級→超越級→神級

の順番で強くなる。

古代魔法の初級は現代魔法の超級または超越級に位置している。

つまり、4,5階級の差があるということだ。

これが大きな違いといえるだろう。


「えっ!そんなに威力が違うのですか?普通の魔法が使えない僕がそんなの使えないですよ」

「それは違うぞ。現代魔法が使えないから古代魔法が使えないとは限らないからな」

「どういうことですか」


古代魔法は魔力を多く消費するため魔力が少ないものは使えないというのが今の考え方だが、現代魔法は魔力が多すぎると使いずらいという欠点が存在することが分かったんだ。つまり、ツカサ君は、古代魔法を使う才能はあるのだよ。

だが、それだけでは古代魔法は使えない。

魔力感応度が必要値以上なければ使えない。


「魔力感応度?それは何ですか」

「実は君が僕の幻術を見破ったことに関係する。感応度が低いと私は仮面をかぶっているように見えなく普通の顔をしているように見えるのだよ。逆に言うと魔力感応度が高い人間には幻術は聞かない無駄な魔法ともいえる。ここまではいいかな」

「は、はい。だから、出会ったとき驚いたのですね」

「そういうことだ。君が私の幻術を見破ったということは私と同じもしくはそれ以上の魔力感応度があるということだ。つまり、若い君は私を超える存在になりえるということだ。私はそんな存在を探していた。私の後を継ぐにふさわしい後継者をね。いや、少ししゃべりすぎたね。授業に戻ろう」


後を継ぐ?後継者?古代魔法が使える人間は少ないと聞いた。それはつまり、今のままだと消えてしまう技術ということなのかもしれない。それに今の僕には古代魔法というものは希望なんだ。後継者と考えてもらえるくらい期待してもらえているのならそれに応えたい。それが僕の家に恩返しになると思えるから。

古代魔法という強力な魔法を手に入れれば僕を馬鹿にするだけでなく、お父様やお母様を馬鹿にしている貴族たちを見返せるのかもしれない。


「先生。僕、頑張って古代魔法を使えるようになります。だから、僕に古代魔法を。いや、先生のすべての技術を教えてください」

「ふふふ。初めからそのつもりだよ。今は君は古代魔法のことについて知るんだ。それが今君に必要としていることだ」


僕はまだ古代魔法のことをよく知らない。だけど、これからは先生となってくれる人がいるんだ。その人の教えの通りにやっていこう。僕を馬鹿にしたやつを見返すために。

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