第64話 魔法袋の整理
「それじゃ、これで」
「はい、お疲れ様でしたー」
2階の改装は、即日で完了した。
翌日の
元からあった倉庫の扉を通路の入口と見たて、そこから真っ直ぐに伸びる通路を挟んで左右に2部屋ずつ、計4部屋。それぞれ縦長の4畳ほどの広さだ。
そのうち3部屋には据え付けで二段ベッドと荷物の棚を
「あー、ええな。この狭さ。あのだだっ広い部屋にマット敷いて寝るんは居心地悪かったわ」
まあ、20畳ほどの倉庫に1人ってのも確かに寂しいものがあるかもしれない。
スケさんには試しに1部屋を使ってもらうことになった。
昨日の帰りに寝具屋に寄って、スケさん用にマットと毛布は買ってきたので、それを使ってもらう。昨日は忘れてたけど、後でまた寝具屋に行って、残りのベッド用に追加で買ってきておこう。
◇◆◇
「さて、それじゃ始めますか」
昼ご飯をハンバーガーで済ませて、早速魔法袋の整理に取り掛かった。ちなみに、スケさんにはオニオンリングとポテトフライも付けたら大層喜んでいた。
作業内容は、リビングにまたカーペットを敷いて、その上にスケさんがどんどん中身を出して、それを譲渡用の魔法袋へと詰める流れだ。
その際に、装備品についてはスキル上げも兼ねて俺が【
結構な量があるそうなので、スキルレベルが上がるか楽しみだ。
「それじゃ、まずは装備品からお願いしようかな」
「ええで、ほい」
そう言って、昨日既に【
長丁場になりそうなので、【鑑定】は軽く済ませようと思いつつ、説明文にある特殊効果に目を奪われる。
最強クラスの装備らしい見た目だけではなく、それぞれに強力な魔法耐性や状態異常耐性などが付いていて、普通に買っても
また、装備には共通で【
「あー、こいつは【氷魔法】がえらい強い魔族と戦った時の痕やなぁ、懐かしい。名前は何て言うとったか……覚えてへんな」
時折、傷がついた装備品などを見て思い出話などを挟みながら、作業は進んでいく。
「ああ、そうそう。何か欲しい装備とかあったら持っていってもええで? 大体は【
うーん、こんなの
【
だからこそ、スケさんもこんなの着れるかって押し付けようとしてるんだろうけど。
一見して地味(※当社比)かなと思えた革装備とかも、【鑑定】で『ケルベロス』『キマイラ』『ハイドラ』みたいな名前が並んでるもんな。終いには『ドラゴン』なんてのもいくつも出てきたし。
確かに装備を良くしておきたいところだけど、もうちょっと目立たない感じのがいいんだよなぁ。
……でもまてよ、ギルドの水晶
見る人が見れば分かるけど、一見して地味な感じの革装備…………実は、スケさんが普段使いしてたっていうベヒーモス革が、まさにそれなんだよなぁ。
他にもちょうどよさそうな候補があるかもしれないから、一通り終わってからスケさんに相談してみようかな。
◇◆◇
「装備品はこんなもんやな。基本的に全て
「そうだね……一応、パーティの2人用に欲しい
「ああ、別に何でも持って行ってええで。ただ、絵画に描かれたやつが無いと流石にがっかりされそうやから、あいつだけは外してもらおか。まあ、
どうだろう? アレも【聖属性強化】とか【自動HPMP回復】とか、その上で【
「ちなみに、何が欲しいんや?」
「1つは、スケさんが最後に着てたっていうベヒーモスの革鎧一式なんだよね。見た目が黒地でまあまあ目立たなそうだけど、物理や魔法に耐性があるようだから」
【ベヒーモスレザーキュイラス】
ベヒーモスのなめし革で作られた
物理耐性:特大
魔法耐性:特大
状態異常耐性:中
この他、
「ああ、あれは間違いないな。尖っとらん代わりに汎用的な性能では最高水準や。ワイの
「その辺りは、餓死しないように【空間収納】の食糧在庫を常に大量確保しておくよ」
「間違いないな」
実際の性能は確認しないと不明なものの、即死さえ回避できれば逃げられるから、この性能は間違いなく生存率を高めてくれる。
「あとは、これかな」
【バニッシュマント】
魔力を通すことで、マントに隠れた部分を認識できなくなる。
逃げるにしても攻撃するにしても、これがあれば成功率が上がりそうだ。もっとも、攻撃については初見殺しが精々だろうけど。
「ああ、透明になるマントやな。隠密仕事が
いや、隠密とか全然やりたくないっていう。
元からそっちを志望してたら無双できたかもしれないけど、あんまり誰かを殺したりとか恨まれそうなのは嫌なんだよね。
平穏に豊かに、なるべく『楽しい』を優先して暮らしていきたいんです、俺の異世界生活では。
「あとは……これとこれかな。リナとクララにどうかと思って」
「あー、こんなん拾ってたか? まあ、どっかで拾ったのかもわからんけど、記憶無いなぁ。どんな性能やった?」
俺が譲渡用の魔法袋から取り出したのは、
【業火のブレスレット】
魔力を通すと火属性効果上昇。
火属性強化:大
火属性耐性:中
【光輝のタリスマン】
魔力を通すと聖属性効果上昇。
聖属性強化:大
「属性強化系だね、火と聖の性能を上げるのに特化した
「属性強化か……強化系は装備の有無で感覚変わったりするからな、その辺りは注意やな。【聖属性】の場合は
なるほどね、その辺りは贈った際に試し打ちでもしてもらって違いを理解してもらう必要がありそうだ。
それじゃ装備関連はここまでと言うことで、譲渡用の魔法袋を確認してみると、既に結構な容量を使っているようだった。
「スケさん、そっちの魔法袋はあとどれぐらい残ってる?」
「んー、今ので全体の1/3てとこやろか」
そう、魔法袋は容量制限に対してなんとなくで入れられそうな残量が分かる。
ラビット氏の魔法袋は相当デカいのか、あるいは無限に近いのか、あれだけ大量の食料が入っていても全然容量が圧迫されている気配が無かった。
【鑑定】結果では『容量:特大』と出るので、よっぽど大きいんだろうことは予想できるけど、どんだけだよと。
ひとまず、装備を入れていた魔法袋は『装備用』というメモ書きを残して、別の魔法袋に切り替えることにした。
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