第十一話:普通なんていらない
視点を変える。
それは物事を考える方法としてはどこまでも普通の一般的なやり方だ。IQクイズのマッチ棒問題みたいに上下左右反転させて見るのか、それとも平面的じゃなくて立体的に見るのか。考えている問題の性質は全く違えど、全く別の視点で考えてみるという方法は何にだって役立てられる。
つまり俺の視点じゃどうやっても凪沙を凪沙としか見られないなら、凪沙を『人形』として見ているらしい人に話を聞いてみればいいということだ。そうすれば分かることの一つ二つは出てくるかもしれない。
単純な事なのに俺は凪沙本人に固執しすぎて気付くのが遅れた。森住先生に話をした時みたいに本人以外から答えやヒントを得られる場合だってあるだろう。
「凪沙ってどんな人か分かる?」
そういうわけで体育祭から週が空けた月曜日の昼休み。問いかけると、雄斗は弁当箱を開く手を止めて怪訝そうな顔を向けてきた。
「先に聞くけど惚気話? それとも自慢? そんなことも知らないのか、俺は入月のことよく知ってるんだけどな、みたいな」
「どっちも違う。ただ凪沙のことが知りたいだけよ」
「なら本人に聞くのが一番手っ取り早いだろ。なに、入月と喧嘩して話せなくなったとか?」
「そういうわけでもないよ。ただ、凪沙はあんまり自分のこと話さないから」
なるほどなぁ、と雄斗は呟いて止まっていた手を動かして弁当箱を開く。ウインナーに一切れの焼き鯖、野菜炒め、ほうれん草、きんぴらゴボウ。野菜が多目の中身が現れた。
「つっても、現状一番入月と話してんの史仁だろ。その史仁以上に俺が知ってることなんてないと思うぞ?」
「俺もほとんど凪沙の事分かってないからさ。印象でもいいから聞きたいんだよ、雄斗から見た凪沙を」
「ふぅん、そんなに史仁は入月にお熱ってわけ」
納得したような納得していないような調子で雄斗は鼻を鳴らした。まぁね、と肩をすくめておく。雄斗が思っているような熱ではないだろうけれど、勘違いしていてくれた方が面白がって色々話してくれるかもしれない。
雄斗は「そうさねぇ」と呟いて考えるように野菜炒めを咀嚼してから言った。
「美人」
「うん、それで?」
「めっちゃくちゃ可愛い。運動が出来る。頭も良い。誰も触れられない高嶺の花。お前は触れかけてるけど」
「他には?」
「他? そうだなぁ」
余計な茶々が入る前に問うと、雄斗は唸ってから口を開く。
「指先は冷たくて冬に弱そう。朝に強いと見せかけて実は弱かったら可愛いな。ほとんどゲームはやったことないけどやってみたらアクションゲーム上手いとかもあり。あと、朝夜二回の風呂には花とか浮かべてるし毎食フレンチとか食べてそう。少なくともカップラーメンは食べたことないタイプだろ。そんで、家にでかいピアノとかあって玄関に壺は置いてある。もしかしたらリビングに鹿の頭をとか飾ってあるかもしれない。さらに全部屋にテレビが一台ずつある。もちろんトイレにも風呂にも。んで、トイレに関しては七畳くらいあって観葉植物とかも置いて名前も聞いたこと無いような芳香剤の良い香りしそう。まぁパッと思い付くのはそんなもんかねぇ」
「途中からただの勝手な金持ち像だな」
「印象でいいって言ったのは史仁だ。それに入月は金持ちだろ、実際。あ、あとトイレは行かない」
「理想のアイドルかよ」
途中から凪沙の印象ではなくなっていたけれど、雄斗の言わんとすることは分かる。誰がどう考えたって裕福であることは間違いない。
そして分かりやすいほどの金持ち像を並び立てたということは、雄斗の目には凪沙は金持ちの家の人間だと濃く映っていると言うことだろう。逆にそれ以外の凪沙へのイメージは持っていないと思ってもよさそうだ。
「雄斗は凪沙が人形に見えた事ってある?」
「入月が人形? 確かに綺麗だし、あんまり顔に出ないから人形っぽいっていわれればそうかもとは思うけど、本当に人形に見えたことはないな」
「そうだよな」
お人形さんみたいに可愛い、っていう言い方はあるけれどそれとは別のはずだ。そう思いながら聞いてみたけれど、やはり出てくるのはその言い方に即したような反応だけだった。
「なら、やっぱり雄斗も凪沙を特別だって思う?」
「まぁ……そりゃあな」
体育祭の後のことを思い出したのだろう、雄斗はためらうように頷いた。
「入月本人は色々大変なのかもしれないけど、花村が言ったように入月を特別じゃないって言ったら何も特別じゃなくなるだろ。いや、もしあっちを普通って基準にしたら俺たち凡人は悪い意味で特別になるか。でもまぁ一般庶民の感覚じゃ入月が特別だって事は変わらねぇよ。親ガチャUR引き当てたようなもんだろ」
「親ガチャね……」
雄斗らしいけれど嫌な表現だと思った。そんな言葉一つでつけられるランクが何を以て決まっているのかと言う話だ。収入なのか家柄なのか性格なのか、それとも子供へどれだけ愛情を注いでいるのか。判断する基準は曖昧でバラバラだ。それを一括りにして「レア度」を決めるのはいささか乱暴すぎる。
それに周りがどれだけURだと羨んでも凪沙みたいに嫌うことだってある。ある程度客観的に見て良い親かどうか判断できることはあっても、良い親かどうか最終的に判断するのはその家の子供でしかない。
そして凪沙が両親の事を良いと思わないのならきっとそれはURとはいえない。
「もし凪沙がガチャを引いたんだとするとURは親じゃなくて家柄と財産くらいだと思うけど」
「それだって親の持っている力だろ。本人達にちょっと至らない点があるみたいだってだけで」
家柄や裕福さが良いのかどうかは人間としての基準でしかない。それがよければ親としても良いとは言えない。もちろん親は親である以前に人であるから全く関係の無い話ではない。けれど、親としてどうかを判断するならまずは切り分けて考えるべきだ。
逆にあまり裕福と言えなくたって、愛情と思いやりを込めて子育てをしてそれがちゃんと子供に伝わればその子にとっては良い親と思われるはずだ。例え反抗期になってどうしてうちにはお金がないんだと怒る時が来ても、それを過ぎれば親のありがたさを感じられるようになるだろう。そんな親をガチャが外れた、なんて言い方をするのは違う。
「……そんなもんか」
言いたいことはあったけれどその言葉は飲み込んだ。今は親ガチャという言葉に関して話し合いたいわけじゃない。雄斗が凪沙をどう思っているのか知りたいだけだ。
「その至らない点含めて、雄斗は凪沙の両親が羨ましいってこと?」
「羨ましいとは言ってねえよ。ただ入月の悩みは少し贅沢かもなって思うだけ」
「贅沢、か」
「勉強も運動も出来る上に潤沢な金があるんだぜ? 俺からすれば贅沢のなんのって話だよ。まぁ入月の悩みが俺たちに分からないように、入月にもきっと俺たちのこういう気持ちは分かんないんだろうよ、基準が違いすぎて。まぁ、庭の規模や庭師の技量がどれだけ違おうが芝である以上は青く見えるってのはちょっと驚きだけどな」
「確かに、そうだな」
俺も凪沙の事を知り始める前だったら素直に頷けていたんだと思う。俺たちが凪沙と変わって欲しいと思うことがあっても、凪沙が同じように思っているだなんて想像の一つもしていなかった。
ただ、それが自殺の理由の一端であると分かった今となっては肯定もしづらかった。俺の首肯は酷くぎこちなかった。
雄斗は何も思わなかったのか、口に放り込んだウインナーを飲み込んでから聞いてきた。
「んで、なんか分かった?」
「何が?」
「入月のことだよ。史仁が聞いてきたんだろ」
「あぁ、まあそうだな。分かったのは雄斗の金持ち像くらいかな」
「そりゃ悪かったな」
「いや、話が聞けてよかったよ」
そう答えると雄斗は「そうか?」と首をかしげた。
「なんというか、初心に戻れた」
「なんだよ初心って」
「最近は凪沙寄りに考えていたからさ。外側から見るって事してなかったのかなって」
雄斗は呆れたようにため息を吐いて首を振った。
「史仁お前さぁ、本当、どんだけ入月のこと好きなんだよ。ここまで言われると怖くなってくるんだけど」
「別に好きではないよ」
「いやいや、流石にもう無理あるから、隠せてないから。俺なんて入月の視界からしたら端役でしかないやつに、入月がどう見えるか聞き込み始めている時点で執念深いとかのレベルじゃねえよ。ちびりそうになるくらい怖くなるわ」
「まぁ執念深いってのは否定できないかもしれないけど本当に好きではないんだよ」
「じゃあ入月のことどう思ってんだよ」
「好きよりも憎さと苛立ちと共感の方が強いんだよ」
凪沙にも言ったことをそのまま言うと雄斗は「何がどう拗れてそうなったんだよ」と顔をしかめた。
十三年分、拗れただけだよ。答える代わりに自分の弁当を口に詰めて塞いでいく。
一先ずは雄斗から見た凪沙の事は分かった。才能溢れた金持ち。一言でまとめるとそうなる。ただ、その見方が『人形』かと言われて納得できるかというとそう上手くはいかない。事実を人形と言うつもりなら、やっぱり俺だって凪沙の事は人形として見ていなければおかしいことになる。
でも凪沙曰くそうじゃないなら、答えは別にあることになる。そういうことだろう。
さてどう答えに行き着けるのかと考えていると、雄斗が食べている手を止めて顔を上げた。
「そういえば、入月の事聞きたいなら花村にも聞いてみれば?」
「花村?」
元から聞くつもりではあった。意図せずとも凪沙の中の一定のラインを超えた彼女に聞いてみるのは面白そうだとは思っていたから。
しかしわざわざ名前が出されると言うことは花村は何か知っているのだろうか。
「確か花村は入月と中学同じはずだから、俺よか知ってることは多いかもしれない」
「そうだったんだ」
「あぁ。あと体育祭のこと結構気にしていたからさ。話ついでにあの後入月がどうだったとか教えてやると良いかも」
「なるほど。雄斗は優しいな」
「男子高校生なら誰だって可愛い女の子の味方にはなるもんだよ。それは史仁もだろ?」
俺は答えず肩をすくめて笑った。
男子高校生と言われていいのか分からない上に、俺は決して凪沙の味方になっているつもりはない。もしも自殺をする事を知った上で止めずにその気持ちに共感することを味方になるというのならなってしまっているけれどきっとそれは真の意味で味方とは言わない。ふさわしい言葉を探すなら偽善者あたりだろう。
ふと遠くに一人座った凪沙を見てみた。今日もエナジーバーを食べていた。
放課後、凪沙には用があるからと一人で帰ってもらって、俺はしばらく花村の周りから人がいなくなるのを待っていた。花村は話しながら落ち着いた調子でノートを鞄にしまっている。花村が話し終わって立ち上がるとまた他の一人が声をかけにいった。それは一言、二言程度交わしてすぐに別れていった。
今度こそチャンスと話しかけに行く。
「ちょっといい?」
声をかけると花村は驚いたように笑った。
「いいけど珍しいね、入野から話しかけてくるの。今日は入月さんと一緒じゃないんだ」
「俺も常に凪沙と一緒って訳じゃないからね。それに今日は凪沙がいない方がいい」
「もしかして私を不倫デートに誘うつもり?」
「凪沙とは付き合ってないよ」
「そうなの? てっきり付き合ってるのかと思ってた。入月さんのこと好きじゃないの?」
「好意よりも憎さと苛立ちと共感の方が強い」
すっかり慣れ始めた口上を述べると、なんか複雑な関係なんだ、と花村は分かった風に頷いた。
「それで、用って何?」
「凪沙の事で聞きたいことがあるんだ。花村はこの後部活はある?」
「入月さんのこと? 今日は自主練だけだから急がなくて良いけど……」
花村は渋い顔になった。
「私に答えられる事なんてあるかな?」
「そんなに身構えなくて良いよ。アンケートに答えるくらい気軽に考えてくれれば」
「アンケートって、入野は入月さんで何がしたいのよ」
「ちょっとね。花村には凪沙がどういう風に見えているのか気になってさ」
「それは……その、特別かどうかって事?」
気まずそうに視線をそらされた。
「確かにそういうことが聞きたいけど、この前のことを責めるつもりはないよ。凪沙もそんなに気にしていなかったから」
「本当?」
頷くと花村は安心したように「よかった」と息を吐き出した。雄斗の言うとおり気にしてくれていたらしい。あんな凪沙を見てしまえばそうなるのも無理はないのかもしれない。
「むしろあの後の打ち上げ、上手くやれたのかの方が心配だったよ、俺は」
「心配してくれてありがと。一応、あの後はいつも通りなんとかみんな楽しんでくれたと思うよ」
「そっか。ならよかった。あのままお通夜ムードで解散は寂しすぎたからね」
「本当、なんとかなってよかった」
苦笑した花村は「それで、入月さんのことだよね」と気を取り直すように言って、少し歯切れ悪く続けた。
「私はやっぱり、入月さんは特別だと思うよ。親のことは可哀想なのかもしれないけれど、それでも私にないものなんでも持ってるから」
「花村にないもの?」
「入野も分かるでしょ? 私は入月みたいなスタイルしていないし、彼女は顔だって母親みたいにとっても綺麗。運動も勉強も何でも出来て、それを当然みたいな顔してなんでもやっちゃうじゃない。私にはそんなことできない。そりゃ特別だって言いたくなるよ」
雄斗に聞いたようなことをそのままなぞるように続けられる。ただ一つ違うところは雄斗よりももっと個人的な感情に寄り添って言っていることだ。
「だから凪沙に対しては少しムキになるの?」
「そうじゃないよ」
ムキになる、というちょっと嫌な言い方は否定されなかった。自覚はあるらしい。
「なんでも出来るくせに自分から活かそうとしないのが気に入らないの。見ていて嫌にならない? 特にそれが自分ができないことだったらなおさら。体育祭の競技だってそう。入月さんが脚速いこと、みんな知っていたからリレーに選べたけど、知らなかったらもしかしたらあんな結果で終わらなかったかもしれない。それって勿体ないよ」
「勿体ない、か」
「うん。出来ることがあるなら、手を抜かずにやって欲しいって私は思う。だって簡単にできるくせにやらないところ見せられたら、出来ないから頑張っている私が惨めになるでしょ?」
「それは同感だね」
「入野も?」
「うん。花村の気持ちすごく分かる」
身に覚えのある感情に安心さえした。
死ぬ前、俺も同じように考えて凪沙に苛立って憎いとさえ思った。その気持ちに似ている。
今でこそ家庭には無理だと分かったけれど、それでも他ならどこにでも居場所なんて作れそうな彼女がそれをせずに自殺したことを昔の俺は許せなかった。俺みたいな救いようのなかった人間だから出来るはずの自殺をなんでも出来るからってやってしまった凪沙が許せなくて反感を抱いていた。
一言でまとめてしまえば嫉妬だ。
そう改めて考えると俺は花村にも嫉妬しているかもしれないと思った。俺の凪沙への感情は黒くて汚い不健全なものだから、綺麗な気持ちで凪沙に嫉妬を向けられる花村のことも羨ましく思えてしまう。
共感と新たな妬心を感じていると、花村が「意外」と口にした。
「入野は入月さんの味方をするものだと思ってた」
「味方、ね」
「何かおかしいこと言っちゃった?」
いや、と否定する。雄斗からも味方という言葉を聞いていたからまたかと思っただけだ。
「俺の感覚で話すなら断然花村の気持ちの方が分かるよ。俺もできないことしかないし、凪沙が妬ましいと思ったことは何度もあるから。そういう意味じゃどちらかというと俺は花村の味方の方が上手く出来そうかな」
「入野、もしかして入月さんの愚痴を言いに来たの? それとも今私口説かれてる?」
「どっちでもないよ。ただちょっと共感しただけ」
「なんだ。口説かれているならどう断ろうか考えたのに」
「振る前提かよ」
突っ込むと花村は楽しそうに声をあげて笑った。
いい気分ではない響きに小さく咳払いして話を元に戻す。
「凪沙と同じ中学だって聞いたけど前からずっと凪沙は今みたいだったの?」
「そうだね。会った時から変わらないよ、入月さんは。ずっと達観して周りと距離を置いてた。住む世界が違うんだろうねって、みんなで言い合ってたくらい」
「その割には結構花村は凪沙に話しかけてるけど」
「一人だけ距離を置くのは差別みたいで嫌なだけ。話したいんじゃなくて話さない自分が許せないの」
「馬が合わない人とは無理に付き合おうとする必要は無いと思うけどな」
「だとしても、なの。その方が理想的でしょ? それに数少ない入月さんにはできてないことだから、私はやりたいの。下らないけど張りあってるつもり」
花村は綺麗だな。純粋にそう思えたけど言わなかった。口にしてしまうと少し嘘っぽくなる気がしたから。
かわりに、そっか、とだけ答えた。
そろそろ話も終わりにしたほうが良いかもしれない。花村の凪沙の見え方はだいたい分かった。
「最後に一つだけ聞きたいんだけど花村は入月のこと、人形だって思ったことある?」
「入月さんが人形?」
花村は眉根を寄せた。
「確かに感情は薄いし綺麗だから人形みたいなところはあるけど、思ったことはないかな」
「そう、だよな。ありがとう。色々助かった」
「ならよかった。でもなんの役に立つのこのアンケート」
「どうだろうな」
「なにそれ」
愉快げに笑った花村は、すぐにハッとして言ってきた。
「私が今話したこと入月さんには言わないで、一応。入月さんもとっくに気付いているかもしれないけど」
「もちろん。代わりに俺が花村の味方の方がしやすいって言ったことも本人には黙っておいてくれると嬉しい」
「分かった。約束ね」
凪沙に言われたところで痛くも痒くもないというのが本音だけれどこういう言い方をした方が花村も安心するだろう。互いに秘密を握り合っているなら告げ口はしないだろうと思わせられる。
「それじゃ、部活頑張れ」
「ん、ありがと。じゃあね」
軽く手を振ると花村は荷物を詰め終えた鞄を持って出ていった。
最後の質問も予想通り雄斗と同じ答え方をした。二人とも希薄な感情と容姿に対して人形みたいだとは言ったけれど、俺から言われなければ思ったことがないみたいだった。
しかし、二人が抱く凪沙に対する印象も俺とほとんど変わりはない。そこに付随している個人的な感情が少しずつ違うだけで大きく外れているわけではない。そうなると俺と他の二人で、凪沙を人形として捉えるかどうかという差が生まれる理由がますます分からなくなる。その見方や印象がどう凪沙の感情や生き方を否定しているのか全く見当がつかない。
前進しているようには感じられない状況に重くなる頭の疲労を排出するように大きく息を吐いて俺も教室を出た。
凪沙に向ける視線が彼女を否定しうる可能性を見つけるために確認出来ることはまだ残っている。こういう時に大人ではなくて高校生なのはありがたいと心の中で思った。
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